第4話『いずも』
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。 今度は立奈が固まる番だ。
「……いいじゃないですか。 先輩が誰と仲良くしてたって」
「そう」
「そう……そうですよ。 私は無関係なんですから」
「そう」
「……何か言いたげですね」
如月の顔は先程までとは違い、真剣なものに変わっている。
「一応、先輩として言っておくけど」
何についての“先輩”なのかは聞かなくてもわかるような気がした。
「考えておいたほうがいい。 自分が何を求めているのか、相手は何を求めているのか」
それだけ言うと、如月は前の方にいる輝橋の方へと走り出した。
立奈の脳内では、如月に言われた言葉が何度も繰り返されている。
「何を、求めているのか……」
私は、何をしたいのか。 わからない
わからなくていい わかりたくない
一緒にいられればそれでいい。
本当に? わからない
自問自答を繰り返す。
「あっ、見えてきましたよ」
そうこうしているうちに、目的にへとたどり着いたようだ。
「ここが、本日より皆さんにお貸しするログハウスの《いずも》になりまーす」
「《いずも》?」
「父の趣味でーす」
輝橋の発した疑問の声に適当に返しながら長谷川はログハウスの鍵を開ける。 扉をあけて中に入ってみると、想像していたものよりも広々とした空間が広がっていた。
「えっと……電気、水道は普通に使えます。 寝室は2部屋あるので適当に分けて使ってください。 あとは……まぁ適当に汚しすぎないようにくつろいでください」
長谷川の簡単な説明を聞き流しながら、自分でもどんな部屋あるのかを確認していく。
居間、寝室、寝室、トイレ、クローゼット……
「風呂は?」
「さっき通った道を少し降りたところに分かれ道があるんで、そこ曲がったら浴場があります」
「外か……」
とりあえず、と部屋の隅に荷物を固めて置くと、輝橋は早速ごそごそと鞄を探る。
「さて、目的地に到着した後にやることといえば?」
「手洗いうがい」
「じゃなくてよ」
「まさか……しないのか!?」
「いや、しますよ!? そういう常識的な話じゃなくて!」
「えっ、輝橋今から非常識なことするの?」
「ちっがあああああぁぁぁう!!」
輝橋の方に目を向けてみると、いつの間にか大量の玩具が並べられていた。
すごろくにボードゲーム、トランプやその他カードゲーム。 如月の物らしきゲーム機類も置いてある。 一体どこにこの量の荷物をしまっていたのだろうか。
「夏だぞ!? 山だぞ!? 遊べよ!?」
「んじゃ山らしい遊びしようよ」
「写真を撮れよ」
「宿題をしろ宿題を」
「正論は聞きたくない」
部屋の隅で三角座りをして耳を塞ぐ輝橋。 まるで駄々をこ
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