第4話『いずも』
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ます?」
玲人たちから少し遅れた場所を立奈と如月が歩いている。 輝橋がすっかり長谷川と盛り上がってしまっているために、立奈が代わりに如月に気を配っていた。
今も、如月が唸り声を出したのでペットボトルを差し出したところだ。
「……違う」
しかし、如月は首を振ってペットボトルを受け取ろうとしない。 なら何事かと首を傾げていると、如月はため息をついて前方を指差した。
「……アレ」
如月が指した方角には、雑談しながら歩く玲人、輝橋、長谷川の三人の姿があった。 彼らがどうかしたのだろうか。
「あぁ、混ざりたいんですね。 あの……」
「違うから!」
前を歩く3人に声をかけようとすると、腕を掴んで止められる。 ますます何がしたいのかわからない。
「そうじゃなくて、ヒロトが、その、」
身振り手振りを交えて伝えようとしているが、焦っているためか要領を得ない。
もしかしてこの人……
「あぁ、嫉妬してるんですか?」
「嫉妬……ッ」
顔を真っ赤にして固まる。 どうやら図星のようだ。
チャットアプリでやり取りしている時の印象でらクールな人物なのだと思っていたが、実際はそうではないらしい。 口数が少ないのは自分の考えを言葉にすることが苦手だからなのだろう。
今も何かを言おうとしてはいるが、なかなか言葉が見つからないのか口をパクパクさせている。
「ふふっ、可愛いところあるんですね
「うぅ……ユイまで私をからかう……」
こんな性格だから、周囲の人によくいじられてしまうのだろう。 移動中の電車でも、主に輝橋にからかわれていた。
まぁ、こんなに可愛らしい反応をするのだから、からかいたくなる気持ちもわかる気がする。
「けど、パートナーなんだからヒロトはもっと私を構うべき」
むすっとした表情です如月が話を戻す。
「ここについてからヒロトはナホと話してばっかりいる」
「久しぶりに会ったって言ってましたし、仕方ないんじゃないですか?」
「そうだけど……そうだけどぉ……っ」
ぐぬぬ……と唸りながら頭を抱える如月。
やはりパートナーが他の女の子と仲良くしているのを見るのは複雑な気持ちになるのだろうか。
「ユイはなんとも思わないの?」
「へ? 私ですか?」
「そう」
一体なんのことだろう。 首を傾げていると、時折言葉を詰まらせながらも続けて質問を投げかけてくる。
「私は、その、ヒロトが一緒にいないと、嫌。 ユイはいいの? レイトが、……ナホと仲良くしてるのは」
「うぇっ!?」
頭の中を漂っていたことが全て吹き飛ぶ。 予想外の質問だった。
「なっ、なんで先輩が出てくるんですか?」
「見てればわかる」
形勢逆転
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