第四十九話 カトレアの旅立ち
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「う〜〜ん。朝か……ん?」
朝、マクシミリアンが目を覚ますと、目の前にカトレアの顔があった。
「おはようございます、マクシミリアンさま」
「おはよう、カトレア」
天蓋付きのベッドの上で仰向けのマクシミリアンに、覆いかぶさる形でカトレアが挨拶をした。
二人とも、半裸状態だ。
「と言っても、もうお昼ですけどね」
「そんなに寝てたか」
今日、カトレアは魔法学院の寮に入寮する為、新宮殿を離れる。
昨夜は、二人が一年以上離れ離れになる事から、明け方まで求め合っていた。
「魔法学院には、いつごろ出立だっけ?」
「本当は、お昼前に出立の予定だったのですが……」
「あちゃ〜、皆には申し訳ないことをしたな」
「家臣の皆さんに合わせようとするのは、とても、マクシミリアンさまらしいと思います」
「このまま待たす訳にもいかない。出立の準備をしようか」
「マクシミリアンさま、もう少しこのままで……」
カトレアは、名残惜しそうに、舌先でマクシミリアンの胸板をツツツ、と走らせた。
「くすぐったいよ、カトレア」
「うふふ……マクシミリアンさま、可愛いです」
「カトレアも、『ツボ』を心得る様になった」
「何も知らなかったわたしに、色々な事を教えたのはマクシミリアンさまですよ?」
普段は可憐なカトレアが、この時ばかりは百戦錬磨の娼婦に見えた。
「この淫乱ピンクめ! もう辛抱たまらん、ウオオオオオッ!」
「きゃ〜っ、マクシミリアンさま〜っ!」
結局、この日は終日までイチャイチャしていて、カトレアの出立は次の日に延期になってしまった。
……
改めて次の日、カトレアはエドゥアール王に挨拶をした後、新宮殿に一度戻り、魔法学院に出立する事になった。
見送りは、マクシミリアンとアンリエッタに、数十人のメイドたちだ。
「カトレア義姉様。魔法学院でもお元気で」
アンリエッタが、カトレアに言う。
カトレアの人となりのお陰か、アンリエッタはカトレアに良く懐いていた。
「アンリエッタもお元気で。余り、我がままを言って、皆を困らせては駄目よ?」
「もう、分かってますよ、カトレア義姉様」
同じような台詞は、兄のマクシミリアンに、いつも言い聞かせられた為、少し不機嫌になった。
「アンリエッタ。カトレアはお前を心配して言ってくれるんだぞ?」
「お兄様も、わたしの事より、義姉様の事を気になされば良いのに」
マクシミリアンの言葉にも、アンリエッタは口を尖らせ、そっぽを向いてしまった。
「ごめんなさいね、怒らせちゃったかしら」
「カトレア。アンリエッタを余り、甘やかせないように。この娘は
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