第四十九話 カトレアの旅立ち
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接すれば良いか分からないわ」
やはり、カトレアの事で、皆、戸惑っているようだった。
「つい先ほど、王太子妃殿下のメイドが、僕達を見て報告に戻った事から、まもなく王太子妃殿下も食堂に、お見えになられると思う。そこで皆で、盛大に歓迎しようと思う」
ジョルジュの言葉に、一同が顔を見合わせた。
「良い考えだわ、私は賛成よ」
一人の少女が立ち上がった。
「貴女は確か……」
「ミシェルよ。ミシェル・ド・ネル」
かつて、アントワッペンの騒乱で、マクシミリアンに協力した少女ミシェルだった。
「ありがとう、ミス・ネル。トリステイン魔法学院では、全ての生徒は階級の上下も無く、一生徒として扱われるから、僕達のそれに習うべきでは?」
「しかし、カトレア王太子妃殿下を一生徒として扱えば、マクシミリアン王太子殿下に目を付けられて、実家が取り潰されるかも……」
一人の男子生徒の発言で、食堂の温度は急降下した。
「た、たしかに……カトレア妃殿下の良い評判は聞くけど。王太子殿下は、恐ろしい評判しか聞かない」
「俺……前の内乱で、反乱軍に組した貴族は、王太子殿下の秘薬のモルモットになったって聞いた」
「私は、多すぎるトリステイン貴族を間引きする為に、ワザと反乱を起こさせたって聞いたわ」
「あ、それ、俺も聞いた」
「私も!」
食堂は、マクシミリアンの悪名品評会になりかけた。
「いい加減にしたらどうかね?」
だが、この流れに待ったをかけた者が居た。
「これは、ワルド子爵」
ジョルジュが、ワルド子爵と呼んだ少年は、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだった。
ジャンの父で先代のワルド子爵は、先の内乱の際に病で陣没し、その息子のジャンが新たなワルド子爵に就任したのだ。
ここ、一昨年は、ワルド子爵領の内政や、その他の引継ぎの為、魔法学院への入学が遅れていたが、今年17歳にしてようやく入学が適ったのだった。
「粛清された貴族が、何故滅んだのか……それは、彼らが無能だったからだ。根も葉もない悪名に恐れを抱くより、大いに精進して、王太子殿下のお眼鏡に適えばよいのだ。これからのトリステインは、生まれの違いで評価されるのではなく。トリステインにとって有用か無用か、それで決まるのだからな」
「たしかに、ワルド子爵の言うとおりだ。今までのトリステイン王国の場合は、僕なんか伯爵の三男坊なものだから、何処か養子先を探さなきゃいけなかったけど、これからのトリステイン王国は、能力次第なら公爵だって夢じゃない」
ジョルジュはワルドの言葉を聞き、頭をかいた。
「マクシミリアン殿下は気さくな御方です。よほど無礼を働かなければ、手打ちになることも無いで
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