第四十九話 カトレアの旅立ち
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万事、取り揃えております」
荷解きをする予定がすることもなかった為、カトレアは魔法学院の制服に着替えた。
「この制服って、スカートの丈が短いわね」
「大変、よくお似合いですよ」
「ありがとう、フランカ。やる事もないし、一息入れようかしら」
「それでは、厨房で紅茶を貰って来ます。王太子妃殿下は、いかがなさいますか?」
「お隣様に挨拶をしてくるわ。ついでにお隣様をお茶に招待しようと思うの」
「では、多めに貰って来ます」
「お願いね」
フランカが部屋を出た後、カトレアはお隣の生徒をお茶に誘うべく廊下に出た。
いくら、入学式前とはいえ、人の気配の無い寮内は異様だった。
「みんな、何処かに出かけているのかしら?」
不審に思いつつ、隣の部屋のドアをノックした。
「……」
が、返事は無く、再度ノックしたが、これも返事が無かった。
「……留守かしら?」
諦めて部屋に戻ろうとした時、フランカが戻ってきた。
「おかえりなさい、ずいぶん早かったですね」
「王太子妃殿下、食堂にて新入生が集まっていましたので、報告にと急ぎ戻ってまいりました」
「あら、だからみんな居なかったのね。それじゃ、わたしも顔を出そうかしら」
「紅茶はいかがいたしましょう?」
「もったいないけど、キャンセルでお願いね」
「畏まりました」
☆ ☆ ☆
トリステイン魔法学院の食堂では、今年入学する男女、十数人が集まって騒いでいた。
「諸君! 集まってくれてありがとう。今日のこの出会いを大切にしようではないか!」
長テーブルに上り、エセ演説をぶつのはグラモン家の三男ジョルジュだ。
「何だよジョルジュ。僕らを呼んで何しようっていうんだ?」
「大方、この集まりを口実に、女の子を口説くつもりだろ」
「そうよ、貴方、いつからそんなに偉くなったのよ」
「ジョルジュ。この前、私を口説いていたけど。他の子も口説いていたそうね。どういうことよ?」
四方から野次が飛ぶ。
新入生だけで食堂に集まり、親交を暖めようと、この企画を実行したのはジョルジュだった。
入寮してこの方、ジョルジュは片っ端から女の子に言い寄り、その都度、撃沈してきた事から、周りからお調子者の評価を受けていた。
「ま、まあまあ。それは置いといて、今日集まって貰ったのは他でもない。王太子妃殿下の事だ」
カトレアの事が話題に上がると、野次を飛ばしていた連中は一斉に押し黙った。
「それは……」
「私達にとっては、雲の上の存在だから。どの様に
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