第四十九話 カトレアの旅立ち
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マクシミリアンはアンリエッタに振り回される事になった。
☆ ☆ ☆
カトレアを乗せた王家御用達の馬車は、数時間でトリステイン魔法学院に到着した。
トリステイン魔法学院は、本塔と周囲を囲む壁と、魔法の象徴である5つの属性、水・土・火・風、そして虚無を表す5つの塔からなる。長い歴史を誇る由緒正しい魔法学校である。
『魔法学院では、王家の人間ではなく一生徒として扱う事』
マクシミリアンが、事前に通達していた事から、出迎えもそれほどの人数ではなかった。
「ようこそ、御出で下さいました。学園長のオスマンで御座います」
学園長のオールド・オスマンがわざわざ出迎えてくれた。
「始めましてオールド・オスマン。御高名はかねがね承っております。三年間の短い期間ですか、お世話になります」
「恐縮で御座います。王家の者としてではなく、一生徒として扱うよう、王太子殿下より承っております」
「わたしとしても、その様に扱っていただけると、気が楽になりますわ」
「まずは、女子寮のほうまでご案内いたします。誰か、王太子妃殿下を部屋までご案内するように」
オスマンは、メイドに女子寮まで案内するように命じた。
メイドに付き従われ部屋へと向かう際、カトレアは小さなネズミを踏みそうになったが、踏んでしまっては可哀想と、跨いで通った。
その時、オールド・オスマンが、これ以上無い笑みを浮かべたが、気付くものは居なかった。
……
『王太子妃殿下が、魔法学院に入学するらしい』
トリステイン魔法学院では、その話で持ち切りだった。
女子寮の、最も奥の部屋を割り当てられたカトレアは、道すがら自分の事を好奇の目で見る生徒達に優しく微笑み手を振った。
手を振られた生徒達は、次々に頭を下げ、逃げるように去って行った。
「嫌われているのかしら?」
「きっと、恥ずかしがっているのでしょう」
カトレアの問いに答えたのは、メイドコンビの一人フランカだった。彼女も御付のメイド兼、護衛として魔法学院にやって来た。もう一人のベティは、アルビオンのティファニア母子の下にに派遣されている。
「そうかしら?」
「そうですよ、王太子妃殿下」
などとお喋りをしているうちに、カトレア達は部屋にたどり着いた。
「たしか、内装は前日に運び入れていたのね?」
「はい、王太子妃殿下」
部屋に入ると、これから三年間、王太子妃として劣らない豪華なベッドや調度品が置かれていて、荷解きも既に済ませてあった。
「荷解きをする必要は無さそうね」
「はい、
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