第四十九話 カトレアの旅立ち
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かなりしたたかだ」
「ひどいわ、お兄様!」
「あははは」
「うふふふ」
「むー!」
頬を膨らませるアンリエッタを見て、マクシミリアンとカトレアは愛おしそうに笑いあった。
……
楽しかった三人のお喋りも終わりを向かえ、カトレアが出立する時間になった。
「それじゃ、カトレア。魔法学院でも元気で、風邪など惹かない様にね」
「マクシミリアンさまも、お身体にお気をつけて。あまり、お酒も御召過ぎないように……」
「う、分かったよ」
「それとですね……」
「まだあるの?」
「離れ離れになっても、わたしたち夫婦はいつも心は一緒ですよ」
カトレアは、マクシミリアンの手をとって自分の胸に当てた。
「……もちろんさ」
マクシミリアンは、カトレアの胸を名残惜しそうに離した。
「それでは、いってきます」
「いってらっしゃい、カトレア。僕も二週間後に出発だ」
「ちょうど入学式の頃でしょうか」
「多分、そうだね」
「義姉様、わたしも!」
「アンリエッタも元気でね」
「はい、カトレア義姉様」
カトレアは、二人に一礼すると、馬車の待つ正門まで進んだ。
『王太子妃殿下、いってらっしゃいませ』
新宮殿正門前では数十人のメイドたちが列を二つ作り一斉に頭を下げた。
カトレアは、メイドたちに向かい、にこやかに手を振りながら二つの列の間を歩き、王家御用達の豪華な馬車に乗った。
馬車の窓からカトレアは手を振り、マクシミリアンとアンリエッタも手を振り返した。
カトレアを乗せた馬車は、ゆっくりと走り出し、新宮殿から離れていき、ついには見えなくなった。
「さ、みんなご苦労様。仕事に戻ってくれ」
残されたメイドたちに、仕事に戻るように命じた。
「承知いたしました」
メイドたちが、一人一人頭を下げ仕事に戻っていき。マクシミリアンとアンリエッタだけが残された。
「ねえ、お兄様。わたし達も戻りましょ?」
「そうだな、戻ろうか」
すると、アンリエッタがマクシミリンの腕に抱きついてきた。
「お兄様! 今日、お泊りしてもいい?」
「そうだな……」
「良いでしょ、お兄様。お願いよ」
アンリエッタは、マクシミリアンの腕にしがみ付き、空中で足をバタバタさせた。
「分かった分かった。今日はアンリエッタはお泊りという事で王宮に使いを出してくよ。これで良いかい?」
「わ〜い。お兄様、大好き!」
「やれやれ」
「お兄様、一緒に寝よ? 一緒にお風呂に入ろう?」
「分かった分かった。人の身体によじ登るな」
旅立ったカトレアの感傷に浸る暇も無く。
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