第一部
三十六計逃げるに如かず
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いている。
紫闇が『退いてくれ』と言うのが間に合わず、もう躱せない位置に迫っていた。
「おっと危ない」
「気を付けろ糞餓鬼」
両者は紫闇の目に捉えられないコマ送りのような体捌きで体を引き、更には紫闇の走る勢いを殺さないよう彼の体を投げてしまう。
人混みの中でも人が少なく、紫闇が極力誰かとぶつからないルートに一瞬で誘導したのだ。
紫闇は何が起きたか解らず束の間に起こった出来事に驚くも、今は謝罪や礼を言っている暇は無いので必死に刻名館の男子から逃走した。
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