第33話 ロナウディア星域会戦
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艦艇2、3隻をまとめて串刺しにしていった。
これには、勇猛で知られるホフマイスター上級大将もお手上げ状態であった。
「むぅ……やりおる」
「敵の守り固く、これを抜くことは困難かと。また、敵巨大戦艦の砲火が中央部に集中しています。このままでは逆にこちらが分断される恐れがあるかと」
「こちらは敵の2倍だ。分断など恐れはせんが……ハルバーシュタットの方はどうなっている?」
「敵第一艦隊の足止めを受け、突破は難しい模様」
「こちらの目論見は失敗だな。全艦を敵の射程外まで退かせろ」
「よろしいのですか?」
「既に決着は時間の問題だ。ここで無用な犠牲を出すこともあるまい……」
・・・・・
ホフマイスター艦隊が攻撃を切り上げたのは、ミッターマイヤー元帥の旗艦ベイオウルフでも確認された。
「ホフマイスターは断念したか……まあいい、敵艦隊の旗艦の半数は討ち取っている。このまま押すだけで十分だろう」
ミッターマイヤーは勝利を確信していた。
その時、
「閣下、ハルバーシュタット艦隊が敵艦隊の凹陣に誘い込まれ、被害甚大とのことです!」
「むっ、相手は第一艦隊か」
「はい。指揮官はマリク・バーバラ中将です」
「奇術師マリク……か。これまでの戦闘で、こちらに幾度か低手痛い一撃を入れた手並みは、彼のヤン・ウェンリーを彷彿させるものがあるな。もっとも、実力・戦績共にヤンには程遠いが……」
ミッターマイヤーはそう言った後、数秒思案して、
「ハルバーシュタット艦隊を後退させよ」
と命じた。
・・・・・
ハルバーシュタット、ホフマイスター両艦隊の攻撃が止んだことで、何とか一息つけたルフェール軍は、総司令官のアルベイン元帥が全軍に命令を発した。
「全軍突形陣を取れ。我らはこれより敵陣へ突撃し、突破後……撤退する」
「か、閣下! イストアを見捨てるのですか!」
「もう勝敗は決した。もうイストアを守る術は無い。これ以上の交戦は無益な損失を出すだけだ」
この時点でルフェール軍の戦力は5万を切っており、重損傷艦を除外すれば、戦力として数えれるのは4万強であった。
また、第二、第十三、第十四、第十五艦隊の旗艦が撃沈されたことで指揮系統が混乱しており、実質的な戦力は更に低くなる。
これは、アルベインとしても断腸の決断であった。
「敵の最も薄い一角に集中砲火!」
最も薄い一角――ハルバーシュタット艦隊を狙い撃ちにして、崩れたところを最大速度(最大戦速ではない)で一気に駆け抜ける。
ルフェール軍は、賭けに勝った。
「これは……やられたな」
そう言ってミッターマイヤーは苦笑した。
宇宙暦818年/帝国暦509年
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