暁 〜小説投稿サイト〜
戦闘携帯のラストリゾート
犯行はバカンスの後で?
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んだり、あるいはレストランの食事やリゾートスパをのんびり満喫した人が歩いている。
 リゾートの景色はアローラの夜とは比べ物にならないくらい煌びやかで、海辺にもいくつもの明かりが海を照らしている。空を飛んでいるのに、海を泳ぐホエルコはおろかメノクラゲたちまで目で見ることまでできた。

「ここは……みんなが楽しんでる、退屈とは無縁の町なんだね」
【そう表現してもいいかもしれません。……不安ですか?】
「……うん。それでも……怪盗として招かれたのなら、ちゃんとやらなきゃね。『模犯怪盗』なら……きっと、そうすると思う」

 穏やかだが退屈で、刺激を待ちわびるアローラとは、全く違う場所。夜空から一望した景色はそれを十分に伝えてきて。そんな場所で自分の行動やバトルがどれほどエンターテイメントとしての役割を果たせるのか。温かいはずの夜風が、一瞬冷たいものに感じられた。その時だった。
 
「……?」

 視線を感じる。もう一度周りを見てみるが、こちらに目線を向ける人はいない。あって夜空をぼんやり眺めているだけだ。

「スズ、ちゃんと目立たないようにナビゲートしてくれてるよね?誰かに見られてない?」
【勿論です。そもそも空を見る人がいても、ツンデツンデの空間操作でわずかに見える星の位置がゆがむだけのことです。不審に思う人間がいるとは思えませんね】
「レイ、誰かに見られてる感じはある?」

× ■ ■ ■ ×
■ × ■ × ■
■ - × - ■
■ × ■ × ■
× ■ ■ ■ ×


 今度は絨毯状の表面で×が赤く光って、ないという意思表示。

「スズはともかくレイがそういうなら……気のせい、かな」
【ラディ、今わざとスズに聞いてからツンデツンデを頼りましたね? 許してくれるといったのにあんまりですよ?】

 よよよ、とわざとらしさ極まる涙声にわたしはそっけない風で返す。

「普段の行いが悪いもの。……だいたい、アローラでは話せなかったって言うけどここに来るまで飛行機に乗ってるときとか話すタイミングはいくらでもあったよね?」
【それはその……どうせ黙っているならラディが自分で気づくタイミングまで黙っていた方が面白いかなー……と】
「ほらやっぱり!そんなことだろうと思った」

 騙されたことへの軽い当てつけをしたのはほんとだけど、でも二人がそう判断するなら気のせいだろう。わたしはそう思うことにしてバトルシャトーへ向かった。

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