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占術師速水丈太郎  死の神父
第七章
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「それが出ましたから」
「神父の運命は決まりましたか」
「はい、かの神父の使う術は外道」
「外道ならばですね」
「同じ魔術でも正道には勝てません」
「必ずですね」
「私ともう一人の方が勝ちます」
 そうなると言うのだった、そしてだった。
 速水は島に上陸してから静かに目的地に向かった、島には人気がなく夜目にも美しい景色だったが速水は黄色い満月に照らされた島の中で共に進む司教に言った。
「美しい島であることはわかりますが」
「それでもですね」
「人の気配がしませんね」
「はい、この通りです」
「神父のことを恐れ」
「人はおぞましい存在には近寄りません」
 本能的にそうするというのだ。
「ですから」
「それ故にですね」
「はい、誰もがです」
 島にいた者達はというのだ。
「逃げ去ってしまいました」
「ではこの島は今は」
「はい、完全にです」
 最早というのだ。
「神父以外はです」
「誰もいない事実上の無人島ですか」
「そうなっています」
「そうなのですね、警察等は」
「悪魔と聞いて」
 それでとだ、司教は速水に難しい顔で述べた。
「怯えてしまい」
「手出ししていませんか」
「日本の警察はどうか知りませんが」
「いえ、日本の警察も普通の殺人鬼ならともかく」
 容赦なく捜査の対象にし事実なら逮捕するがというのだ。
「こうしたカルト的な話には」
「怯えてしまいますか」
「日本の警察の信条は科学捜査です」
 これが第一である、このこと自体は犯罪に対して冷静かつ公平に向かうことが出来るので非常にいいことである。
 しかしだ、科学を第一にするがあまりというのだ。
「オカルトには弱く」
「では」
「こうした事件がありますと」
「速水さんの様な方の出番となりますか」
「それが常です。ですから」
 それ故にというのだ。
「日本でも私は仕事をしています」
「そうなのですね」
「はい、そして」
 速水は司教にさらに話した。
「この度もとなります。ですが事実上の無人島ならば」
「もう気兼ねなくですね」
「戦えますね、この村々にも人がいないことは残念ですが」
 二人の右手に小さな村が見えた、南欧の趣の村であり昼になれば日差しと後ろの海がよく似合いそうば村である。村人達の暮らしも明るいものになるだろうと思った。
 だがそれでも人がいない、それで彼は言うのだった。
「しかしです」
「それでもですね」
「一般の人達に危害が及ぶ心配はない」
 それならというのだ。
「私もそれならです」
「誰にも気兼ねなくですね」
「闘えるので有り難いです、聖堂は破壊してもいいでしょうか」
「はい、特に文化的価値もないといいますか」
 司教は速水に眉を顰めさせて答えた。
「古いことは古い
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