第三章
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「それはまた」
「いいよ、じゃあ帰ったら退院祝いにすき焼きにしようか」
「奮発するのね」
「こうした時に使わないとね」
金はというのだ。
「だからね」
「じゃあ楽しみにしてるわね」
「是非ね」
こうしたことを話してだ、そしてだった。
耕太は今は大阪の家自分達が住んでいるアパートの一室に帰った、そうして冷蔵庫の牛乳と帰りにスーパーで買ったサラダと無花果、茹でたソーセージを食べてだった。
風呂に入った、だが身体を洗う時ふと窓の方に目がやると。
そこに黒いぬめりとした感じの肌で長い赤い舌、大きなぎょろりとした目の何かがいた。その何かは。
耕太を見るとちっ、という感じの極めて残念そうな顔になってそれで窓から消えた。耕太は身体を洗いつつ今自分が見たものが何か考えた。
それで風呂に上がってからネットで先程のものが何かを調べ次の日退院した妹にすき焼きを食べ焼酎を飲みつつ話した。
「しょうけらってね」
「お風呂場覗く妖怪?」
「それが出たんだよ」
「痴漢じゃない」
彩加は兄の言葉を聞いてすぐに言った。
「それって」
「そうだよね」
「というか覗くだけ?」
兄にあらためて問うた。
「その妖怪」
「どうやらね」
「覗きしてなの」
「大抵はお風呂屋さんに出るらしいけれど」
「覗いてなの」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「僕を見たら」
「残念そうに消えたのね」
「舌打ちする感じでね」
「それって絶対にね」
彩加は兄の言葉を聞いて憮然として言った。
「私が目的だったのね」
「そうだろうね」
「若し私を覗いたら」
その時はとだ、彩加は怒って言った。
「窓開けてね」
「一撃だよね」
「グーーーで殴ってやるわよ」
本気の言葉だった。
「即刻ね」
「彩加ならそうするよね」
「それで警察に突き出してやるから」
殴ったその後でというのだ。
「絶対にね」
「相手が妖怪でも?」
「妖怪でもよ」
そこは関係がないという返事だった。
「容赦なくね」
「殴って警察に突き出していたんだ」
「そうしてやったわよ」
「そうなんだね」
「覗きを許したら」
それこそという言葉だった。
「駄目でしょ」
「犯罪だからね」
「そう、若し私が入ってる時に覗いたら」
「その時はだね」
「そうしてやるから」
殴ってそして警察に突き出すというのだ。
「相手が妖怪でもね」
「あの、妖怪って警察案件かは」
耕太はここでこのことを話した。
「わからないけれど」
「人間じゃないから」
「うん、幽霊が出ても警察動かないよね」
例えとしてこのことを出した。
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