本編番外編
入れ替わりシリーズ
入れ替わりの話・弐
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断じて違う!! お願いだから、人の話を聞いてくれ!!」
もうやだ。さっきのくのいちちゃんといい、今の山中殿といい、どうして私の話を聞いてくれないのだ。
「お二人の歩く道は紛れもなく茨道となりましょう――ですが、どうか……。いえ、これ以上は部外者が口出す様なことではありませんね。お二人の立場上、賛成は出来ませんが――せめて私だけでも反対意見は口に出しますまい、だから、どうか……」
――――どうしよう、山中殿が悟りを開いた修行僧の様で何とも癪に触る。
それにしてもなんとかして山中殿の分だけでも誤解を解いておかなければ、物理的な意味で私のお先は真っ暗になりそう。
クラクラしてきた頭を抑えながら、打開策を考え込んでいたら――止めの一言が耳に入ってきた。
「だから……その、どうか……頑張って、下さい?」
「ちがーーう! 第一、オレの好きなタイプは笑顔の可愛い癒し系だ!! 断じてコイツじゃない!!」
思わず叫んだら、3人分の視線が私に突き刺さった。
額を押さえるミト(ただし見た目は私)と般若を背後に背負っているマダラ(しかし外見ミト)と吃驚した様な山中殿。
どうしようもなくて引き攣った微笑みを浮かべてみせたら、山中殿の顔色が蒼白に変わった。
そりゃそうか、引き攣ってはいるとはいえ……うちはマダラが愛想笑いなんか浮かべるはずが無いもんね。
「――――は、し、ら、ま」
「っひ!」
背後から響いてきたおどろおどろしい怨念の込められた声に、肩がびくりと跳ねる。
振り返れば見事な赤い髪を逆立て、剣呑な雰囲気でこちらを睨んでいる破滅の死者――もとい被害者其の弐の姿。
「後で覚悟しておけ。――それから、貴様はとりあえず眠っていろ」
――ああ、私終わったな。遺言状したためておけば良かった。
ヒールも高らかに山中殿へと歩み寄っていったミト(ただし中身はマダラ)が、手にした花瓶を高らかに振りかぶって、勢い良く山中殿を殴りつけた姿を目にしながらも、私はそんな事を思った。
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