序章
九死一生
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いた二人は普段と変わらない。
「打ち切るとは言ったものの、既に二人は『真眼』を極め『真打』を会得しとるからのう。はっきり言って教えることは何も無いんじゃ。黒鋼流拳士としての段位は儂と同じよ」
(水命が真眼領域の最終地点まで到達しているのは気付いていたのじゃが、この二人も辿り着くとはの。燐と錬はおろか、黒鋼と白鋼の歴史でも殆ど修得できなかった両一族の拳士としての極みに)
「真眼と真打を極めたからと言って自惚れてはいかんぞ二人とも。黒鋼流体術のみで戦うという条件ならば60年前の全盛期でなくとも今の儂で十分二人に勝てるからのう。まあ『今はまだ』じゃがな」
弥以覇はかつての自分を追い越していくかもしれない天才を見て同じ時代を生き切磋琢磨し競い合った宿敵達のことを思い出していた。
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