本編番外編
入れ替わりシリーズ
入れ替わりの話・壱
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意極まり無いことだけは確かだよなぁ。
眉間の皺がぎゅっとすぼまって、腕を組んだ先の人差し指が貧乏揺すりを覆わせる速度で一定のリズムを刻んでいる。間違ってもミトならばしない光景に、溜め息が零れた。
「……どうしよう、中身が別人だと分かっていても外見がミトであるせいで切ない」
「…………死ね」
蝶よ花よと慈しんできた妹に暴言吐かれた。……中身マダラなのに死にたくなる。
絶望しているのが伝わったのか、それまで沈黙して様子を伺っていたミト(外見柱間)が意を決した様に両手を握る。ちなみにマダラ(外見ミト)は鼻を鳴らしただけだった。
「柱間様、そのような輩にお気遣いなど為されまするな。それとも、柱間様は……」
落ち込んでいる私をみるに見かねたのか、そっとミト(外見千手柱間)が近寄ってきて、慰めてくれる。
やっぱり私の妹は天使に違いない。
蛇蝎の如く嫌っていると公言しているマダラの姿を借りている今の私に対しても、こんな優しい言葉をかけてくれるなんて。
「私が私でなければ、嫌いになられますか…………?」
そっと小首を傾げて、儚く微笑む我が愛しの妹(ただし外見は以下略)の言葉に、これだけは訂正しなければと、急いで首を振った。
「そんなこと無いよ! お前はオレの大事な妹だもの! 例えどんな姿になろうとも、オレがお前を嫌うはずが無いじゃないか!」
「柱間様……」
「大好きだし、大事だし、大切だし、この世で誰よりも幸せになって欲しいと思っているさ!」
この辺りでマダラがぎょっとした表情を浮かべたが、構うものかと言葉を綴る。
ぎゅっと握りしめられていたミト(外見以下略)の手を握りそっと抱き寄せて、不安そうに眉根を下げていた愛しい妹に対して安心する様に微笑んでみせて、ありったけの思いを伝える。
「ま、待て、ウスラトンカチ!」
「誰よりも何よりも愛しているよ――それとも、オレの言葉だけでは信じられない?」
「火影様〜。頼まれていました書類をお届け、に……」
愛する妹(しかし外見は以下略)に渾身の愛の言葉を告げたのと同時に、開かれた執務室の扉。
最悪すぎるタイミングで戸を開いたのは、最近額宛を付けることを許された若いくのいちちゃんに、薄い金の髪を後頭部で束ねた山中殿であった。
……あ、私終わった。
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