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木の葉詰め合わせ
本編番外編
入れ替わりシリーズ
入れ替わりの話・壱
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だ、大丈夫か?」
「――――ぅ?」

 このまま考え込んでもにっちもさっちもいかないので、そろそろとその体を擦る。
 ぼんやりと固く閉ざされていた瞼が震えて、黒い両目が露になる。

 そうして茫洋としていた瞳の焦点が合わさって、眉根が吊り上がったと思うと――。

「からかっているのですか!? 気安く私に触らないで!」
「わあっ、今度は何事!?」

 い、今起こったことを正直に話しましょう!
 ぼんやりとしていた焦点が合わさったかと思うと、次の瞬間には張り手が飛んで来たんです――って、何で!? 何が一体どうなっているの!?

「何を企んでいるのです、うちはマダラ!」
「ま、マダラ!?」
「白々しい! その太々しいまでに傲岸不遜な容貌を私が見間違えるはずがないでしょう! 恍けないで下さいませ!!」

 ふー、ふー、と毛並みを逆立てた猫の様に威嚇する千手柱間――もとい、私の姿。
 わ、訳が分からないと言うか、理解したくない。もう何が何やらさっぱりだ。

 そんな私達に向けて、聞き慣れた妹の声でありながらも、痛烈な皮肉を帯びた声音がかけられる。

「残念ながらマダラはオレだ。――成る程、貴様がそいつの中に入っているのか」
「は? 何故、そこに私がいるのです?」

 視界の端で赤い髪が翻って、かつかつとヒールが床を叩く音が耳に届く。
 どうやらミト(?)が起き上がって私の近くにまで歩きよってきたらしい。

 その姿を目にして呆然と目を見開く私――もとい、私の姿をした別人の誰かさん。
 いや、誰なのかは分かっているけど……誰なのか言いたくないと言うか、認めたくないと言うか……。

「ま、待って……! ミト、が……マダラ? で、私の中にいるのが……」
「その物言い……柱間様、ですか?」
「他に誰が居るの……と言いたい所だけど、当たり――なんだよね……」

 み、認めたくないけど……認めざるを得ない。
 慎重に腕を動かして、テーブルの上に置いてある手鏡を手に取る。
 伸ばした手が自分のものに比べると遥かに大きいことに気付いて泣きたくなった。

「――は、はは……やっぱりだ」

 よ、予想はしていたけど、まさか本当にこんな馬鹿げたことが起こるなんて……。
 ミト(?)は自称マダラ。私(仮)はミト――となると私が先程から動かしているのは……。

 手にした鏡に映っているのは見慣れた自分の顔ではなく、我が仇敵殿にして同盟者たる男の顔だった。
 この時点で、もう笑うしか無い。
 そう思っていれば、鏡の中の男は随分と引き攣った笑い顔を浮かべていた。

 私がこんな表情を浮かべているこいつをみたら、真っ先に回れ右して逃げるわな、きっと。

「ははは」

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