第六章
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「そうしてです」
「倒されるのですね」
「はい、どういった相手かはわかりました」
「アンドレオ=エマヌッティ。ジェノヴァのごく普通の靴屋の息子でした」
司教は件の神父のことを話した。
「幼い頃から勉学が出来長じて神学に興味を持ち」
「そうして聖職者への道を進んだ」
「ここまではよくある話でしたが」
「学問を学ぶ中で」
「神学だけでなく」
即ちキリスト教について学ぶだけではなくなったというのだ。学問は一つのことを学ぶ中でその人るのこと以外のことも学んでいくことが多い。穴を掘っているとただ縦に深くなっていくだけではない。自然と穴の幅自体が広くなりまた必要と思えば他の場所にも穴を掘っていくものである。
「悪魔学を学びやがて」
「悪魔学の中でも」
「真の邪悪の道に魅了され」
「そちらを学ぶ様になりましたね」
「そうしていくうちにです」
「人の心をなくしていった」
「神父として奉職していたのですが」
それは表の顔であったというのだ。
「その実は」
「邪悪、外道というべき道に染まっていて」
「罪なき子羊達をかどわかし」
「多くの生贄を捧げていた」
「そうだったのです」
「そうですね、確かに」
ここで速水はタロットの大アルカナのカード、彼が商売道具としているそれを出した。一枚のカードで占うとだった。
悪魔のカードが出た、速水はそのカードを見て述べた。
「文字通りのです」
「悪魔ですか」
「はい、それも只の悪魔ではなく」
自分が引いたそのカードから感じる禍々しいもの、速水は右目だけでなくもう一つの目でも見つつ司教に述べた。
「まさに外道です」
「左様ですね」
「しかしです」
「しかし?」
「悪魔の運命は決まっていますね」
ここでもう一枚のカードを引いた、それはというと。
塔のカードだった、彼はそのカードも見つつ司教に述べた。
「破滅です」
「では必ず」
「私が倒します、しかし」
「しかし?」
「私一人の力ではありませんね」
もう一枚カードを引いた、今度のカードは魔術師だった。
その魔術師のカードを見つつだ、速水は司教に笑って答えた。
「わかりました」
「魔術師ですか」
「はい、私のカードも出ていますが」
法皇のカードだった、見れば塔以外のカードは正であり逆のカードは一枚もない。塔は逆でも意味はさして変わらないので速水も司教も意識していなかった。
「しかし私だけでなく」
「その魔術師のカードが表す人が」
「恐らくですが」
「他の組織、クロアチア正教が雇った」
「その方です、そしてその方がどなたか」
速水は司教に笑顔のまま答えた。
「わかりました」
「お心当たりがあるのですね」
「よく。どうも私はこの方と縁がありますね」
「縁を感じるだけ
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