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赤米黒米
第五章

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「そうでしたの」
「何か歴史の不思議ね」
「全くですわね、豊臣秀吉さんは臼で挽いた挽き米がお好きでしたけれど」
「それも白米よね」
「そうでしたわ」
「私もずっとお米っていうと」
 雅美にしてもだった。
「本当にね」
「白米でしたわね」
「もうそれだってね」
「思ってましたわね」
「やっぱりね」
 雅美がこう言うとだった、他の友人達も口々に言った。
「普通そうよね」
「お米ってもうね」
「白いものよね」
「そうした認識あるわよね」
「それが固定観念に過ぎなかったとは」 
 稲穂は今度はしみじみとした口調で述べた。
「まことに世の中は広いですわ」
「そうよね、それでね」 
 雅美はその稲穂に応えて話した。
「そのお米どうして食べるの?」
「お母様がお握りにして下さいますわ」
「そっちなの」
「はい、ただ」
「ただ?」
「ご飯の粘りの関係でお握りになるかは」 
 それはとだ、稲穂は不安そうに話した。
「わかりませんわ」
「ご飯っていうとお握りだけれど」
「それも固定観念になるかもと」
 不安そうな顔でのままの言葉だった。
「思いますし」
「それでなのね」
「お握りにならないかも知れませんわ」
「そうなのね」
「はい、そして」
 稲穂はさらに話した。
「お粥も考えましたの」
「そっちもなの」
「あれでしたら」
「どんなお米でも出来るから」
「ですから」 
 それでというのだ。
「考えましたけれど」
「お握りにしたのね」
「お母様とお話して。お母様も召し上がられますし」
 その赤い米と黒い米をというのだ。
「お母様もわたくしもお粥よりお握りが好きで」
「そっちにしたのね」
「はい」
 その通りという返事だった。
「どうしようかとなって固定観念と考えても」
「まあね」
 雅美は稲穂の言葉を聞いて言った。
「お握りにするのがね」
「王道ですわね」
「二階堂さん基本王道好み?」
「邪道もまた道といいますが」
 それでもとだ、稲穂も雅美に答えた。
「ですが」
「やっぱり王道なのね」
「野球も選手を育成することが一番いいですわね」
「助っ人とかフリーエージェントもいいけれどね」
「ですから巨人は若手が育たず」
「連覇も出来なくなったのね」
 例え一年優勝してもだ。
「そうなったっていうのね」
「はい、本物の強さは。私は独立球団派ですが」
 地元の球団のファンである。
「ですがソフトバンクを見ますと」
「巨人は駄目ね」
「はい、ああしていてはやがてお金がなくなり」
 そしてというのだ。
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