第四章
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次の日雅美にこう答えた。
「奈良県で売っていますわ」
「赤いお米や黒いお米が」
「昨日調べますと」
その結果というのだ。
「そのことがわかりましたわ」
「まだあるのね」
「はい、それで早速ネットの通販で買いましたわ」
「早いわね」
「お米のことですから」
大好き、もっと言えば生きがいだからだというのだ。
「わたくしにしましても」
「動かない選択肢はなかったのね」
「そうですわ」
まさにというのだ。
「ですから」
「注文して」
「届いたら」
その時のことも言うのだった。
「すぐに召し上がりますわ」
「そうするのね」
「その時よかったら皆様も」
「私達もなの」
「来て頂けますか、自宅に」
稲穂の家にというのだ、尚稲穂の家は豪邸である。大地主だった頃からの家でかなりの敷地面積で御殿と言っていい家である。
「そのうえで」
「赤いお米と黒いお米を」
「召し上がりましょう」
「それじゃあ」
雅美も頷いた、そしてだった。
雅美以外にもクラスの友人達が集まって米が届いた時にだった、その稲穂の家に行った。大きな門に広い庭を通ってだった。
和風の豪奢な屋敷の客室に案内された、そこで白い奇麗なブラウスと青のロングスカートというお嬢様そのものの服装の稲穂に笑顔で言われた。
「もうすぐお米が炊けますので」
「じゃあもうすぐね」
「赤いお米と黒いお米が食べられるのね」
「奈良時代にあった」
「はい、ですが本当に驚きましたわ」
楚々とした顔で言うのだった。
「お米は白いとです」
「思っていたのよね」
「二階堂さんにしても」
「そうだったのね」
「それがですわ」
まさかという顔を買って食べる直前でも見せた。
「まさか」
「そうしたお米もあって」
「昔食べられていて」
「今食べられる」
「そうだったなんてね」
「思いもしませんでしたわ。ただ」
稲穂はこうも言った。
「どうも奈良時代には食べていましたけれどそれからは」
「食べてなかったのね、どっちのお米も」
「はい、日本人は何故かです」
雅美に真面目な顔で答えた。
「白米のみになり」
「どっちのお米もなのね」
「植えない様になり」
そしてというのだ。
「食べない様になりましたわ」
「そうなったのね」
「どうもかなり熱心に」
「白米だけにしていったの?」
「そうみたいですわ」
「そうだったの」
「それで赤いお米や黒いお米は」
これから食べる二種類の米はというのだ。
「長い間なくなっていましたの」
「それで二階堂さんも知らなかったのね」
「はい」
まさにというのだ。
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