第百八十三話
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第百八十三話 父の言葉
華奈子と美奈子は赤音達と酒のことを話したその日の夜仕事から帰ってお風呂に入った後で夕食の時に焼酎を飲んでいる父に尋ねた。
「お父さんお酒って美味しいの?」
「お父さん週に一回位飲んでるけれど」
「お酒って美味しいの?」
「どうなの?」
「お酒によるな」
父は娘達にこう答えた。
「それは」
「お酒?」
「お酒によるの」
「ああ、お父さんは日本酒とかビールは苦手なんだ」
父は娘達に自分の酒の好みのことを話した。
「だから家でも外でも殆ど飲まないのだ」
「そういえばうちってビール缶ないわね」
「日本酒の瓶もね」
華奈子と美奈子は父の言葉を受けて二人で顔を見合わせて話した。
「どっちもないわね」
「冷蔵庫の中にもね」
「それであるのは」
「ワインとか焼酎の瓶ね」
「そうしたお酒は飲めるんだ」
そのワインや焼酎はというのだ。
「好きだしな」
「好きなお酒だと飲めるの」
「そうなの」
「お酒はそうしたものなんだ」
父は娘達に話した。
「自分が美味しいと思うお酒は飲めてな」
「まずいと思ったお酒は飲めない」
「そうしたものなのね」
「そうなんだ、お父さんは今焼酎を飲んでるだろ」
「焼酎は好きだから」
「それで飲めるの」
「そうだ、こうして中に氷を入れて」
つまりロックにしてというのだ。
「飲むのが好きなんだ」
「そうだったの」
「お酒って好きなものじゃないと飲めないの」
「何でも飲める訳じゃないのね」
「そうしたものなのね」
「お父さんはそうだ、だから今もな」
焼酎を柿の種を肴に飲みつつ娘達に話した。
「焼酎を飲んでいるんだ」
「ううん、成程ね」
「そうした風なのね」
「薩摩、鹿児島県の芋焼酎だ」
その焼酎だと娘達に言って。
父はまた飲んだ、そうしてこうも言った。
「お父さんはいつも一本空けるな」
「それでその焼酎もなのね」 双子で言葉を合わせた、見れば父は実際にその焼酎の瓶を一本空けてしまった。
第百八十三話 完
2019・8・9
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