第二章
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この時はそれで終わったが悠一も博美もだ。
デートについて色々調べて勉強をした、特に博美は必死で。
母にだ、家でこんなことを言った。
「お洒落した方がいいわよね」
「デートよね」
「今度の日曜日にね」
母にこのことも話した。
「いよいよだけれど」
「はじめてのデートよね」
「色々勉強してるけれど」
それでもとだ、博美はリビングにデートの本やファッション雑誌を必死に読みつつ自分の横でBSのテレビを観ている母に話した。母は最近普通のチャンネルのテレビはどれも面白くないと言って観なくなっているのだ。
「それでもね」
「わからないことが多いのね」
「何かとね」
それこそと言うのだった。
「どんな風に行けばいいかどんなお店に入ればいいか」
「それでお洒落も」
「どうしたらいいか」
そのことはというのだ。
「わからないから」
「それね、もうね」
「もう?」
「あんたが思うままにすればいいのよ」
母はテレビから娘が今読んでいるデートの本を横から見つつ言った。
「そうすればね」
「私が?」
「恋愛に答えはなくて」
「デートもなの」
「答えなんてないのよ」
「そうなの」
「何処に行ってもね」
それが映画館でもテーマパークでもというのだ。
「それでどうした格好でも」
「メイクもなの」
「もうあんたが思う風にね」
「そうしてなの」
「行けばいいから、もうね」
「答えはないのね」
「そうよ、それにはじめてのデートは」
それはと言うのだった、さらに。
「もう悩んでこそね」
「そうしてこそ?」
「価値があるのよ、というか失敗しても」
はじめてのデート、それでというのだ。
「いいのよ」
「失敗してもなの」
「お母さんの最初のデートは高校の時でね」
「私と同じ位の時だったの」
「同級生の子とそうして一緒にお好み焼き屋さん行って」
「デートでお好み焼き屋さん?」
「二人共美味しいお店があるって聞いて行ったの」
はじめてのデートの時にというのだ。
「それでお好み焼き食べたのはいいけれど」
「何かあったの?」
「お好み焼きって青海苔かけるでしょ」
「おソースにマヨネーズ、鰹節に紅生姜に」
「そう、青海苔って唇や歯につくでしょ」
「あっ、それじゃあ」
ここまで聞いてだ、博美もわかった。
「デートの時に」
「お互い唇や歯に青海苔が付いたままデートして」
「はじめてのデートで」
「もうその時はね」
それこそと言うのだった、娘に対して。
「しまったって思ったわ」
「そんなことがあったの」
「だからね」
それでと言うのだった。
「そうした失敗もあるし」
「デートっていうものは」
「そうよ、はじめてのデートもね」
「失敗してこそなの」
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