第一物語・前半-未来会議編-
第十二章 抗いの行く先《2》
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顔を落としている、彼女の目の前に立つ。
「どうか行かせて下さい」
「任せておけばいいじゃないですか!」
咲は顔を上げた。
必死の声で、自分の生徒に訴える。
飛豊は、自身の担任が泣いてるのを見た。
教師歴六年目に今年で突入する自身の担任は、子どものように泣いていた。
その必死さを目にし、圧倒された飛豊は後退んだ。
「全部大人に任せればいいじゃないですか! なんで子ども達だけでやろうとするんですか、まだ世界を渡り歩かなくてもいいじゃないですか。そこまで私は頼りないですか、大人は頼りないですか!?」
「頼りなくありません! ただ私達は告白を成功させたいだけで、だけど日来を救うのは皆でやりたいんです。ここは皆の最後の居場所なのですから」
「そんなの、そんなの都合良すぎます。私は皆が世界を見て絶望させたくないだけなのに!」
「咲先生……」
かっこ悪いと、咲は感じた。
自分の生徒の前で、だらしなく泣いていて。
だけど、自分の生徒を傷つけたくはない。
世界を見て、どうにも出来ないのだと理解してしまった自分のようにはこの子達をさせたくない。
だから止めに来た。
監視艦から長の逃亡を聞いたとき、即座に自分の生徒は彼の元へ行くと予測出来た。
いい迷惑かもしれない、面倒な担任かもしれない。
どんなことも思ったとしても、絶望するよりかはいい。
そんな彼女へ向かって、声が飛んだ。
歳がいった男性の低い声だ。
その声は、生徒の後ろから聞こえてきた。
「行かせてやろうじゃないの、君の生徒は世界を見て絶望する程、柔じゃないだろ」
「榊先生」
飛豊達は自身の後ろ、背後へと体を向けた。
そこには中年の男、自分達の副担任の榊がいた。
靴の代わりに履いている下駄で、地を蹴り音を鳴らす。
背に羽織った着物が雨風で飛ばないように、右手で布を掴んでいる。
加護を発動しているため、彼の近くには雨が落ちない。
通すため横に並んだら列は半分に別れ、榊は手を挙げながらその間を通る。
肩を左右に揺らし、前へと歩む。
眼前に主任の咲を置き、ある程度の距離を置き立ち止まる。
「自分の生徒を信じみなよ。それで傷ついて落ち込んでるとこ見かけたらさ、勇気づければいいじゃないの」
「榊さん……」
「絶望を知ってる君だから絶望を切り抜ける方法も知ってるだろうし、だから三年一組の担任になったわけだしさ」
「ですが私はそこまで強くありません」
強くはない。
今自分がここにいるのは、世界から逃げていたからだ。
合成側印度国《ミックサイド・インドランド》出身で、高等部卒業まで住んでいた。
だが、その高等部のときに絶望した。
何も知らずに世界を描いた自分は、本当の世界を目にしたとき、
人類はな
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