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戦闘携帯のラストリゾート
怪盗乱麻、リゾートへ発つ
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 その人は何年も前から怪盗として活動していて、わたしよりも怪盗らしい怪盗……まるで本の中に出てくるような、どんなピンチでも余裕たっぷりに宝を盗み出す人だ。
 わたしが怪盗になったのも、その人に憧れたのが大本の理由と言っていい。

【彼には来ていませんね。向こうが指定しているのはあなただけです。彼と一緒に行きたいですか?リゾート」
「そういうのじゃなくて!……わたしに来ててあの人には来てないって変だなって」
【彼がこの一年で仕事をしたのは二度だけです。周りからはあなたの方が活躍しているように見えるのでしょう」
「……そう、なのかな」

 彼よりわたしのほうが怪盗として活躍している。それはわたしの目標でもあり、嬉しいことのはずなのに。胸がもやもやする。自分より、あの人の方がもっとすごい……そんな風に思ってしまうのは、卑屈かな。

【いいじゃありませんか。ちょうど、バトルリゾートではバトルの大会も開かれるそうです。アローラだけでなくホウエンのポケモンバトルを見ることでもっと強く、もっと人々を楽しませる怪盗になれるかもしれない。これはチャンスですよ】
「うん……そうする。返事はお願い、スズ」

 さっきの自分への不安も放り捨てて、わたしはさっそくご飯を済ませてリゾートへ行くための準備を始めた。着ていく洋服や、ポケリフレの道具の用意。
 一年近く頑張ったことへのご褒美、言葉に甘えてしっかり楽しもう。招待してくれた人にはお礼も言おう。アネモネ姉さんともう一人の怪盗には、お土産を買ってもいいかもしれない。

「レイ、それにみんなも。旅先でも、よろしくね」

 手持ちのポケモンたちにも話を伝えると、みんな喜んでくれた。
 しかし、わたしはまだ知らなかったんだ。
 楽しいはずのリゾートが、わたしに、怪盗乱麻にとっての大きな試練になることを。

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