暁 〜小説投稿サイト〜
戦闘携帯のラストリゾート
怪盗乱麻、リゾートへ発つ
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。続きまして──』

 テレビを切る。お察しの通り……あるいは言うまでもなく、わたしが『怪盗乱麻』本人である。
 予告状を出して、盗みに入って、それを止めにきた島キャプテンや島キングとポケモンバトルをして。勝ったら宝を持っていくし、負けたら置いて逃げる。昨日はなんとか勝った。
 ひとのものをとったらどろぼう!というのは小学生でも習う常識だけど……わたしの場合はそうじゃない。
 アローラでの“怪盗”とは、世界たくさんの地方の中でも輪をかけて平和なアローラに刺激を与えるアウトローにしてエンターテイナー。
 ポケモンバトルが禁止されて久しいこの世界で、せめてポケモンバトルという文化、その楽しさだけでも残そうと考えた偉い人達によって必要とされた『役割』だ。警察に捕まったら何十年も刑務所に入れられる本当の犯罪者じゃない。
 だから、怪盗といってもそんなに気負うようなことじゃない……怪盗になる前は、わたしもそう思っていた。

「“模犯怪盗”は……何年も前から、これをずっと平気で、笑ってやってたんだね」

 全力で掴みかかってくる警備員。容赦なく銃を向けてくる警部さん。宝を盗む悪党を懲らしめに遠慮なく言葉とポケモンの技をぶつけてくる島キャプテンや島キング。
 本当の犯罪者じゃなくても、怪盗として町に現れる以上、みんな本気でわたしを捕まえに来る。
 それは、とてもわたしには笑って受け止めるなんてできなくて。
 回数を重ねても、慣れるどころかむしろその本気と島のみんなの期待が、より強く感じて。それはとても、身がすくむような……

【アローラ、ラディ!昨日も怜悧にクールに犯行お疲れさまでした!!】
「……うわぁ!?」

 食事を終え、しばらくよくない思考に囚われていたその時に。リモコンを触ってないのに突然テレビから響いた声に、わたしは不意を突かれて驚いてしまった。

【ふっふっふー。この程度で驚くとは修行が足りませんね!】
「テレビが突然ついて喋りだしたらびっくりするでしょ!?」
【いえいえ、これくらいポケモンの本気の力を使えば簡単ですよ?一般的な電子機器など、スマートフォンから炊飯器までロトムの力でちょちょいのちょいです】
「人の家に変ないたずらしないでよ……というか、この前わたしにもアネモネ姉さんにも覚えがないのに炊飯器でパンが焼けてたのは」
【はい、スズがテストがてら良かれと思ってやっておきました!美味しかったでしょう?】

 この神出鬼没おせっかい焼きのスズは、わたしが怪盗として動く間のナビゲーターを務めてくれてて……島キャプテンや島キングを決定したり、ポケモンバトルを行う日取りや場所を決めたりする立場にある。
 要するにアローラのお偉いさんなのだが本人の性格がこうした茶々を入れてひたすら他人の反応を楽しむタイプな
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