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レーヴァティン
第百二十五話 姫路入りその一

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               第百二十五話  姫路入り
 英雄はその正室とお静と共にいた、その場にいてそのうえで妻である彼女に床の中でこんなことを言った。
「暫く振りだが」
「はい、私と夜と共にするのは」
「やはりいいものだ」
 こう妻に言うのだった。
「女は」
「お好きなのですね」
「側室もいるが」
 彼女達ともこうしている、とかくこうしたことは好きなのだ。
「やはりな」
「第一はですか」
「そなただ」
「有り難うございます」
「礼には及ばない」
 英雄はこうも告げた。
「本当のことだからな」
「それで、ですか」
「それはいい、正室はな」
 何といってもというのだ。
「第一の座にあるからな」
「それ故にですか」
「それでいい、だがまたな」
「はい、貴方様はですね」
「大坂を後にしてだ」
 そのうえでというのだ。
「姫路に向かう」
「ご武運を」
 お静もわかっている返事だった。
「では留守は」
「宜しく頼む、後だが」
「後とは」
「俺は女が俺以外の男と寝るのは駄目だが」
 妻達がというのだ。
「女と寝ることはだ」
「そのことはですか」
「構わない」
 こう言うのだった。
「そちらはな」
「そうですか、ですが」
「そうした趣味はないか」
「私には」
 これがお静の返事だった。
「女性については」
「そうなのか」
「この浮島では普通でも」
「男同士もな、むしろな」
「そちらの方がですね」
「陣中でも見る」
 男同士の付き合い、それをというのだ。
「それもよくな」
「そうなのですね」
「俺にはそちらの趣味はないが」
「ではお好きなのは」
「女だ」
 あくまでこちらだというのだ。
「男はな」
「興味がおありでない」
「どうにもな、だが勝手なものでだ」
 英雄はにこりともせずお静に話した。
「俺は女は何人でもでだ」
「その女性の方には」
「他の男と寝るなという」
「そのことは当然では」
 英雄の自分のことを言う言葉にだった、お静は冷静な声で答えて述べた。
「結婚しているのなら」
「その相手にか」
「はい、不義をしない様に言うことは」
「だが俺はそなただけではない」
 床を共にする女はというのだ。
「それでもいいのか」
「領主となられてからはどうでしょうか」
 お静は英雄に彼が旗揚げしてからのことを尋ねた。
「そちらのことは」
「冒険をしている時はよく遊郭に入りだ」
 英雄はお静の問いにこの頃のことから話した、今の彼にとってはその頃のことはもう過去それも遠いものになっている。
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