プロローグ3
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一言をもって上空のメッセージと共に唐突に消え去った。
一万人の静寂が続く。
・・・・まずいな。
オレはこんな異常事態の中でも冷静だった。
日頃の爺さんからの虐待じみた特訓の成果か、あるいはあまりのショックに感覚が麻痺しているからかもしれないが。
即座にキリトとアイコンタクト。
あちらもある程度はオレと同じらしい。
すぐにこっちの意図を理解する。
「クライン、こっちに来い」
キリトが茫然としたままのクラインの腕をつかみ引っ張る。
そのままオレ達は駆け足で路地裏へと移動する。
直後――――状況を理解したプレイヤーたちの絶叫が響き渡った。
―――●●●―――
「クライン、今すぐこの街を出るぞ」
まだどこか魂が抜けたような表情をしているクラインにキリトが真剣な表情で話す。
ぎょろり、と目をむくクラインに対し、オレは地図を可視モードで展開し説明する。
「あのクソ野郎の言う通りなら、生き残るには自分の強化が最優先。MMORPGはお前も知ってるようにゲームが供給するリソースの奪い合いだ。この辺りのモンスターは同じこと考えてる連中にすぐに狩り尽くされるだろうから、今のうちにこの先の《ホルンカ》って村に拠点を移した方がいい」
幸いな事にオレとキリトはベータ時代の知識から安全なルートを知っている。
レベル1の今でも問題なくたどり着けるはずだ。
しかしクライン少しの間目を閉じたかと思ったら、ゆっくりと首を横に振った。
「・・・・悪ぃな。さっきも言っただろ、ダチと待ち合わせしてるって。おめぇらの話はありがてえけど、あいつら置いてはいけねえよ」
キリトが唇を噛むのが見えた
気持ちは分かる。
クライン一人ならなんとかなる。
だが、それ以上となると最悪の展開も予想される。
正直に言おう。もし連れて行ったメンバーの誰かが死んだら、その重みをオレはともかく、キリトは背負いきれない。
クラインはそれを考えた上で自分を置いて行けと言ったのだ・
「そんな顔してんじゃねえよ。大丈夫だ、おめぇらから教わったテクで何とかすっからオレの事は気にすんな」
クラインは恐怖や不安を無理矢理押し殺した顔でそんな事を言った。
出会ってからほんの数時間しか経っていないが、この男の本質が分かった気がする。
要はお人好しなのだ。
この極限状況に置いて自身ではなく仲間の心配を出来る人間など数える程しかいない。
しかもオレ達に対する気遣いまでしている辺り底が知れない程の。
「・・・・分かった」
キリトは顔を伏せ、無理矢理声を絞り出す。
これが以後二年間、キリトを苦しめる事となる言葉だった。
「・・・・何かあったら連絡よこせよ・・・・じゃあな」
そして、それはオレ
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