第七十六話 群雄、一同に集うのことその七
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「劉備なら問題はないと思うぞ」
「決まりね」
曹操も微笑んで話す。
「一時はどうなるかと思ったけれど」
「わたくしのことですの?」
「そうよ。盟主が出るなんてよ」
それをまた言う曹操だった。
「無茶にも程があるでしょ」
「うう、ではわたくしは第何陣に」
「後詰は決まってるからね」
袁術だ。やはり彼女だった。
「もっとも貴女後詰なんて嫌でしょ」
「将が前に出ずして何になりますの?」
また持論を展開する袁紹だった。
「違いまして?それは」
「正論ではあるけれど極端なのよ」
そこが袁紹の問題だった。自覚はしていないがだ。
「けれど先陣は決まったわね」
「わかりましたわ」
「それで第二陣は」
「雪蓮」
「ここはです」
さりげなくだ。孫策の軍師二人が囁いた。
そしてだ。孫策も頷くのだった。
「わかってるわ」
「ええ、じゃあね」
「そういうことで」
「あの、私はね」
孫策が袁紹と曹操に話した。
「第三陣を務めさせてもらうわ」
「あら、そうですの」
「第三陣なのね、孫策は」
「それでいいわよね。私のところは騎兵隊がないから」
それでだというのである。
「弓で援護するってことでね」
「ええ、歩兵ですしね」
「それが一番だしね」
二人は孫策の真意をわかってだ。それで乗った。
しかし話には出さずにだ。頷いてみせたのだった。
「それでは」
「第三陣御願いね」
「そういうことでね」
これでだ。残るはだった。
「では本陣は」
「第二陣よ」
曹操がすかさず袁紹に言った。
「麗羽と私の軍でよ」
「それでなのですわね」
「そうよ。貴女もそれだと文句はないでしょう?」
先陣は駄目でもだ。それでもだった。
「そうでしょう?それで」
「ええ、それでは」
袁紹も第二陣なら文句はなかった。それでだ。
自分の軍師二人にだ。ここで問うのだった。
「問題はありませんわね」
「少し陣の形が歪な気がしますが」
「それでもいいのでは?」
第二陣の数が多いことにだ。軍師二人は言った。
しかしだ。それでもなのだった。
「まあ。それでもいいと思います」
「董卓の軍が大勢で来ても戦えますから」
それでいいとする二人だった。そうした話をしてだ。
おおよその方針や陣が決まった。これで会議は終わった。
曹操は己の陣に帰ってだ。まずは溜息だった。
「全く。予想はしていたけれど」
「麗羽殿ですか」
「また前線に出ようとされていたのですね」
「そうよ。その通りよ」
曹操はありのまま夏侯姉妹に答えた。
「自分が先陣に出てよ」
「ううむ、やはり」
「そう言われましたか」
「止めたわよ。それで先陣は劉備になったわ」
彼女にだというのである。
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