第七十六話 群雄、一同に集うのことその一
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第七十六話 群雄、一同に集うのこと
劉備達が許昌の西に来るとだ。もうそこにはだった。
袁紹の軍が布陣していた。黄色い天幕が立ち並んでいる。
それを見てだ。馬岱が驚きの声をあげた。
「うわ、やっぱり数が多いね」
「ううむ、話には聞いていたが」
魏延も唸る様にして言う。
「この数はな」
「ええと、十五万はいるかな」
「あれっ、何か思ったよりも」
しかしだった。孔明はだ。
その袁紹軍の天幕やそこに出入りする兵達の数を見てだ。意外といった顔になってだ。こう言うのだった。
「少ないですね」
「あれっ、少ないの?」
「これでか?十五万だぞ」
「袁紹さんの軍は二十万は出せる筈です」
その勢力から見ての言葉だった。
「それでこの数は」
「五万いないのね」
「それだけの数がか」
「そういえば袁紹さんは涼州も治めておられますが」
孔明は今度はこのことを話した。
「そこからも」
「っていうと?」
「涼州に何かあるのか」
「あっ、いえ」
ここからはだ。言わない孔明だった。
「確信はできませんから」
「そうなの。今は」
「そういう話だな」
「はい、とにかく袁紹さんにしては少ないですね」
またそのことを指摘する孔明だった。
「十五万ですか」
「充分多いと思いますけれどお」
その孔明のところにだ。陸遜が来た。
そしてだ。その巨大な胸を揺らしながらだ。孔明達に話すのだった。
「私達はやっと十万を動員ですから」
「あっ、陸遜さん」
「それで十五万で少ないなんてちょっとありません」
「いや、十万でも多いわよ」
馬岱がこう陸遜に話す。
「前に会ったっけ」
「馬岱さんですね」
「そうそう。陸遜さんだったわよね」
「はい、お久し振りです」
「そうね。久し振りよね」
二人共笑顔を浮かべて挨拶を交えている。
「元気みたいね」
「物凄く元気ですよ」
そんなことを話してだった。そのうえでだ。
陸遜はだ。また話をはじめた。
「十万。山越族の兵も入れてですよ」64
「ああ、あの異民族の」
「はい、そこからも出しています」
「それで十万ですか」
「そうなんです」
こう事情を話すのだった。ここでだ。
馬岱はだ。こんなことを言うのだった。
「けれど揚州って広いし人も多いし」
「それを考えたら十万も出せるな」
魏延も言う。
「確かに少し辛いにしても」
「それにその山越だけじゃなくて交州もあるじゃない」
「そこも考えたらな」
「はい、確かに揚州は人も多いですし交州もあります」
それは陸遜も認めることだった。
「ただ。やっぱり十万の兵は中々辛いものがあったりしました」
「そうだったの」
「やはり
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