第四章【DEM襲撃】
第五十二話「提案」
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よ」
「ええ、これからについてのお話を」
「これから?」
士道は怪訝そうに言うと、狂三はトントンとリズミカルに靴底で床を叩き、士道の方に近寄ってきた。
そして、士道に寄り添うような格好になりながら、耳元に唇を寄せ、囁くように言う。
「ねえ、士道さん。十香さんを助けたくはありませんこと?」
「何…?」
狂三の言葉に士道は何を言っているんだ?と言う表情を作る。
「どういう、事だ?」
「そのままの意味ですわ。士道さんは、十香さんをDEM社の手から救い出したくはありませんの?」
「そ、そんなの当然じゃないか…!相手は精霊を殺そうとしている組織何だろう?そんな奴らの元に十香を置いておけるわけがない!」
「きひひ、そうですわよね。そうですわよね。それでこそ士道さんですわ」
狂三は、今までで一番楽しげに笑う。そんな狂三を見て士道は得体のしれない不快感に襲われる。
「…っ」
「十香さんを助けたい。…でも、いくらそう願った所で、士道さん一人では実現は不可能でしょう?そもそも十香さんが何処に連れていかれたのかも分からない。仮に場所を突き止めたとして、念願の精霊を手に入れたDEM社がなんの備えもしていないとは考えられませんわねぇ。それに、十香さんを攫った魔術師をご存じでして?あれは厄介な女ですわ。人間が相手をするには過ぎた存在ですわよ?」
狂三の容赦ない正論が士道に襲いかかる。狂三の言うとおり士道には何の計画も情報も持ち合わせていなかった。もし、美九に洗脳された人たちがいなければ士道は天宮市をやみくもに探す事しか出来ず最終的には黄昏手いたはずである。
「っ!そんなこと、言われなくても分かってる!でも、だからって…」
「ええ、ええ。士道さんはそう仰るでしょうねぇ。でも、それは勇気ではなく蛮行ですわ。気持ちだけで何かを成す事など出来はしませんわ。士道さん一人が挑んだところで、直ぐに殺されるか捕らえられるのが落ちですわ」
「ぐ…、何が言いたいんだよ」
士道の言葉に狂三は可笑しそうに笑う。
「うふふ、分かりませんこと?だから、わたくしが手伝って差し上げると言っているのですわ」
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