蒼紅:第三十八話 祈歌
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趣味です。私も女ですから」
人気のない場所で会話していたのはGVとソウのサポートをしてくれていたシャオと、アキュラのサポートをしていたノワであった。
「意外ですね。とても“傾国の誘惑者”とまで呼ばれた魔女のセンスじゃ…」
「私はあくまで、神園家に仕えるメイドです」
シャオの言葉を遮るように言うとペンダントを押し付けるノワ。
「あはは…何にせよ目的は果たせました。ありがとうございます。”ノワさん”」
「ミチル様とシアンさんを本来あるべき状態に“戻し”、電子の謡精の力を覚醒…その上で、活性化した第七波動誘因子を摘出…あなたは一体、何を企んでいるのですか?」
ノワの問いにシャオは苦笑を浮かべる。
「企むなんて人聞きが悪いなあ。“電子の謡精”は世界を変える大き過ぎる力…エデンは勿論…雷霆兄弟にだって渡すわけにはいきませんし、満足に使えない不安定なシアンに持たせたままなのも不安過ぎます。それに、こんな力を持ったままじゃ、ミチルさんは、普通の人生を歩めない。こうやって宝剣…今はペンダントでしたか。因子を再隔離して、能力を完全封印すれば、ミチルさんも平穏(幸せ)な毎日を送れる。そう思ったからこそ、あなたも手を貸してくれたんじゃないですか?」
「それは…」
「…正直、パンテーラの生存は予想外でしたが、彼女にはもうどうすることも出来ない。いくら能力が優れていようとも彼女はまだ幼い子供です。心の支えであった義兄も仲間も居場所も全て失った彼女には以前のような力はない…放っておいても問題はないでしょう……あ、そうだ。以前、彼女のお父さん…神園博士が手術を行った時は、皇神の裏工作で、摘出した誘因子が”生きた宝剣(シアン)”に移植されたせいか、あるいは博士の技術が当時まだ不完全だったせいなのか…ミチルさんの体にも影響が出ていたようですが、今はその心配もありません」
「煙に巻きますね。それは、私の目的です。あなたは、自分の目的を何1つ話していない…」
そう、シャオと接触してからノワは何度も尋ねてみたものの、シャオは決して目的を話そうとはしない。
それでも協力したのはミチルの未来を手に入れるためである。
あのままでは遅かれ早かれ、ミチルは衰弱死していた。
ミチルに生きていて欲しいからこそ、ノワはシャオに協力したのだ。
例え、反動で記憶を失うことになろうと。
「すぐに分かりますよ。心配しなくても大丈夫です。悪いようにはなりませんから」
「……」
去っていくシャオをノワはじっと見つめていた。
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