第四部五将家の戦争
第七十一話 冬に備え、春を見据えよ
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第三軍の指揮官は極めて優秀だという事だ。優秀な前線指揮官が優秀な指揮官の下についたのであればこれほど面倒なものはない。
「はい、本国では随分と目立っているようですな」
改めて再調査した“馬堂豊久”の個人情報を眺める。
「父は軍政の中枢にいる兵站将校。祖父も名の知れた騎兵将校で憲兵の最古参。
それは当然、重用されるわね。首を刎ねた方が良かったかしら?」
声色に本気を感じたのかメレンティンが眉をひそめた。「気持ちはわかりますがお言葉に気を付けていただければ」
「分かっているわ、でもこのままだと本気になりそう、連隊長ならば大佐になっているでしょう。
ねぇこの要塞の猛獣使いというのは?」そう言いながらうんざりと溜息をついた――猛獣使い!剣虎兵!なんと面倒な奴らなのだろう!
「彼の腹心のようです、ノルタバーンで主力を率いていたやり手です。主家にあたるクシロが面倒を見た孤児上がりだと」
メレンティンの報告を聞くとユーリアの目つきが徐々に怪しくなっていった。「そう、そうなの――この状況、彼が手を入れたのね」
ユーリアは透き通った微笑を浮かべた。「いいじゃない、相手になりましょう、今度捕まえたら目の前で皇都を落としてコマシリの総督にでもしてあげる‥‥ウフフフフフ。
目の前で自分の主の領地を管理させてあげる、いえ、副官をやらせましょうかね。私の為にエプレボリのお爺ちゃんの相手も任せてあげられるもの。ウフッウウフフフフフフフフフフフッ」
「殿下‥‥どうしてこうなったのかしらん」苦労を察して目頭を押さえながらも――やっぱり彼に会わせたのは教育に悪かったかナ。と思う爺やであった。
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