初戦のハプニング
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嬢さんが覚えるにはうってつけだ」
「あ、ありがとう……」
「今後ともお嬢さんとは良い協力関係を維持したいのでな。その投資だと思ってもらえれば幸いだ」
そう言ってドレビン神父は隣に立つと、私から民主刀を借りて手本を見せるようにエンチャント・クラウドを発動、刀も含めて全身が紫色に光り出した。
「エンチャントはエナジーを特定の属性に染めるものだ。自らの意思を触媒に、生命力の権化たるエナジーに方向性を与え、属性の息吹をもたらす。故に武器を振るわなければ消費もせずに済む。魔女が使う広域魔法はこれを応用、上位魔法として昇華させたもの故、その一端でも使えるお嬢さんなら使い方さえわかれば後は自由自在に使える」
説明を終えるとドレビン神父はエンチャントを解除し、民主刀を私に返した。気を引き締めてエナジーを纏わせてみると、刀が凄まじい光量で輝きだし、何というか……暴走寸前の回路を見ているような危ない感じがした。
「ん、エナジーを止めろ、シャロン」
急に戻ってきたケイオスに言われ、私もエナジーをいったん止める。すると刀はみるみる内に元の状態に戻ったが……。
「今のを見るに、出力が高すぎる。シャロンはエナジーの保有量が大きいから、細かいコントロールが出来ていないんだ」
「ふむ……高ランクのリンカーコアを持つ魔導師がよくやらかす、魔法使用時に魔力を必要以上に込めて無駄遣いする問題と原理は同じか」
「え、じゃあエンチャントは……」
「今のままでは効率が悪すぎる。故にサポートが必要だ。魔導師のデバイスのようにな」
「でもエナジーは魔力と違うのに、デバイスでサポートできるの?」
「出来る。シャロンと同じくエナジー使いのユーリが技術部長をやっているおかげでな。普段前線に出ない分彼女が開発に専念していた結果、アウターヘブン社にはエナジーに関われる独自の技術が培われた」
「ふむ、力があればとにかく前線に出したがる管理局では決して作れない技術だな。特にこの状況下でエナジー使いを温存出来ない以上、尚更だ」
「ギジタイ封鎖前に久しぶりに行ったレヴィ艦長との通信で聞いた内容によると、もう少しテストを重ねれば一般人でもエナジーを引き出せる技術が開発できるらしい」
「へぇ……それはあらゆる意味で画期的だね」
実際、その技術が確立されれば今の次元世界全土におけるエナジー使い不足の問題を解決できる。いわばペニシリンの発見に勝るとも劣らないレベルともいえる。でも……魔力至上主義に染まっている管理世界や管理局がそれを受け入れるかは別だろう。アンデッドを倒せなくとも、簡単にヒトを倒せる強力な力であることに変わりはないのだから。
一方でエナジーは生命力でもある以上、強弱の違いはあれど生きていれば誰にだってある力だ
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