初戦のハプニング
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ター達の姿だった。まるでスナック菓子のようにバリボリと、熱湯に入れた氷が溶けていくようにズルズルと、彼らの全身が闇に……影に消えていく。助けを求めようにも、声を上げようにも、彼らは口を含めた顔全体を影の手で覆われており、五感の全てを奪われていたのだ。あれじゃあ、もう手遅れだ……。
だというのに私は本能的に左手にザンバーを展開して、彼らを捕まえている影の手を斬った。目の前で助けを求めている人を助ける。管理局員として……否、人としての本能が私の体を勝手に動かしたのだ。
だが、何度斬っても影の手はまるで何事もなかったようにすぐ再生してしまう。空気に攻撃しても意味が無いように、影もまたこちらの嘲笑うかのように、私の目の前で一人、また一人と闇に溶かしていった。
そして彼らを捕食していた影の手は……ついに私をターゲットにしてきた。
「ッ、ミッド式ゼロシフト!!」
いくらスピードがあろうと、雨の中を潜り抜けられはしない。この状況は高速飛行魔法では逃げきれない。サバタお兄ちゃんのおかげで編み出したゼロシフトの無敵時間を利用して、何とか回避していくしかない!
走れ……! 走れ……! 影に捕まって、もう助けられない騎士やシスターの、涙やくぐもった悲鳴に足を取られるな……! 私の力では、彼らを助けられないのだから……!
「あぁああああ!! バルディィイイイイッッッシュ!」
怒りと悔しさの雄叫びを上げながらザンバーに魔力を込めて一時的に巨大化、廊下の先にあったステンドグラスを走りながら貫く。右手は確かに骨折しているが、それがどうした。片手でもガラスぐらい吹き飛ばせる!
ガッシャアアアアアアンッ!!!
影の牢獄を超えた私と共に、砕け散る色とりどりのガラスが夕日に照らされて地に落ちる。そして、黒い影に覆われた聖王教会の屋根に腰を下ろしている下手人に、左手で剣を向ける。
戦場に言い訳は通用しない以上、襲撃に慣れたせいかもしれないが、もはや奇襲そのものに文句などありはしない。ありはしないが……それでも思うことはある。
「やっぱり生き残ったね。流石はエターナルブレイズ」
「ふざけないで! なのは……あなた、そこまで堕ちたの!?」
「ふふふ……何を勘違いしているの? こんなことをするまでも無く、この身は初めから闇に堕ちている。暗黒物質があろうと無かろうと、ね」
「初めから……? いや、そんなことは関係ない。あなたはついに一線を越えた。超えてしまった!」
私の怒りをよそになのはは腰を上げ、ゆっくりと浮遊しながら地上へ降りてくる。今の彼女の装備はというと、元々のバリアジャケットを藍色中心にし、スカート部にいくつか切れ込みを入れて動きやすいよう大胆にリデザインしたような服、右には刀(共和刀)、左には肩まで
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