初戦のハプニング
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配膳させる。そういう役割分担をするつもりだと伝えると、そういうことなら……と納得してもらい、シェルターへ向かった。
「ん、要は子供達によるデリバリーサービスって訳か」
「昔サバタさんと一緒にアメリカで保護されてた時、夏季休暇で子供達がレモネードを露店販売してたのを見て、それを参考にしてみた。私は……もう未来を不安視するだけじゃ駄目だと思ってる。そんなに今後の成り行きが不安なら、少しでもいいから自分で何かを変えようとしないと、結局は流されるだけの生き方になる。今までの私が……そうだったんだから」
「ふむ、中々に興味深い話だ。ところで棚上げしていた話だが、声帯虫の話は聞かないのかね?」
「あぁ、そういや後でってことにしてたね。それで声帯虫って何なの?」
するとドレビン神父は懐から表面に『声帯虫』とメモ書きされたディスクを私に譲り渡してきた。ただ渡す際、テーブルの上をシュッと滑らせてきたのが、まるでスパイ映画のようで少しカッコイイと思った。
「時間がある時に聞くがいい。これから、その余裕が無くなりそうだからな」
「これから? ……っ!?」
ドレビン神父の視線の先、交差点の向こうに見えたのは……大量のマスコミだった。
「こんにちは! ミッドチルダセントラル放送局です! 今回は話題の月詠幻歌の歌姫に突撃インタビューを―――」
「週刊インテリーズです! 彗星の如く現れた歌姫の正体に迫りたく―――」
「MMM新聞の者です。管理局とイモータルの間で行われた管理世界の譲渡について、何かコメントを―――」
イナゴの群れ同然に押し寄せる人とカメラ、質問とマイク。それは……私の記憶に残る悪夢を蘇らせてきた。あまりの威圧に言葉どころか呼吸すら滞り、座っているのに手も足も震えだし、頭の中もぐしゃぐしゃで視界がまともに見えなくなってきた……。
「モンスター退治をなさっていたようですが、それなら実力のほどは? ランクで言うならどの辺りですか?」
「やはり気になるのが趣味や嗜好なのですが、一体どのようなものがお好みで? 好きな異性のタイプはありますか?」
「4年前のファーヴニル事変で歌ってから姿を消し、今再び姿を現したのはどのような理由があったのですか?」
「あ……あ……」
「あなたの力があれば窮地に陥ったこの世界を救えるとのことですが、それは本当なのですか?」
「これまでの犠牲者達に何か労いの言葉をいただけませんか?」
「なぜこのタイミングでやって来たのでしょうか? 不躾ですが、もっと早く来れたのではありませんか?」
「人を救う力があるなら、救えなかった人達に対して申し訳ないと思わないのですか?」
まるで市民代表と言わんばかりの質問に、自分達の理想像らしい言葉を求め
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