戦士のアウェイクン
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件もあるが、ミッドでの襲撃をきっかけに彼女達は対立関係に陥った。しかも高町なのははリトルクイーンとして再び覚醒し、イモータル側になったと聞いた。これはシャロンでなくとも、マキナの事を知っていれば相当腹の立つ出来事だろう。
なにせ決死の覚悟で助けてくれたというのに、その恩を忘れて敵に回ったのだから、僕達にとってみればマキナの善意を踏みにじられた気分だ。まあ、覚醒したのが高町なのは本人の意思じゃなくてリトルクイーンの意思だから仕方ないのかもしれないけど……だからこそ、僕も思う所がある。
「にしても、シャロンを次元世界に連れてくるなんて……ずいぶん思い切ったことをしたよね、リタ」
「ごめんなさい、ジャンゴさま。まさかシャロンがここまで辛く複雑な事情をお持ちだったなんて……迂闊でした」
「まあ、髑髏事件の詳細を知らなかった以上、マキナが巻き込まれずに生きていると思って連れてきちゃったのも仕方ないよ。だけどシャロンと一緒に暮らしてたからこそ、僕はこの言葉が言える。シャロンを次元世界に連れてくるべきではなかった、って」
「それは……マキナさまが亡くなったからですか?」
「それもだけど、それ以上の理由がある」
世紀末世界にシャロンがやってきてから共に暮らしている間、僕はサン・ミゲルの誰よりもシャロンの様子を見る機会が多かった。シャロンはいつも苦しんでいた、次元世界で味わった辛い記憶に。酷い時は発作で呼吸困難に陥ることもあるほど、その傷は深かった。もはや彼女にとって、次元世界は憎悪の象徴だった。
そして髑髏事件でスカルフェイス達との戦いを通じ、僕は報復心というものを理解した。だからこそ言える、心の限界を超えればシャロンは……悪に堕ちる。復讐のために。もしくは報復心に囚われて誰かを傷つける前に……自害するかもしれない。今度は本気で。
今まではサン・ミゲルの皆の支えや月下美人の精神鎮静化、そしてサバタの言葉という支えがあったから、瀬戸際で抑えられていた。だが、彼女の内にある報復心はもはや彼女の自制だけでは抑えられないほどに強大なのだ。銀河意思を天然の暗黒物質と言い表すなら、彼女の報復心は人造の暗黒物質と言ってもいいぐらいに。
故にもし管理世界の……ミッドチルダの人間がシャロンを無暗に刺激し、その報復心を爆発させてしまったら……どうなるのか僕ですら想像がつかない。だから爆発させないのが一番なのだ。
ただ、シャロンがおてんこさまに対してだけ態度がやたら辛辣だった理由はよくわからない。もしかしたらあれはストレス発散だったのかな? あるいは僕達の知らない所で、彼女の機嫌を損ねるようなことでもしたのかもしれない。ああ見えておてんこさま、女の子の扱い下手らしいし。
「モナドや“鍵”も大事だけど、シャロンの救出も急がない
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