第七十四話 于吉、裏で蠢くのことその七
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「そうした国を築きたいってか」
「己の国であればいいそうじゃ」
骸は司馬尉の求める国はそうしたものだというのだ。
「常世の者達でもな」
「ああ、常世な」
社は常世と聞いてだった。
少し考える顔になって述べた。
「そっちの世界ってあれだよな。死んだ奴等の世界だったよな」
「その通りじゃ」
まさにそうだと言う朧だった。
「無論この世界とは相容れぬ世界じゃ」
「言うなら地獄?」
「そうした世界なのかな」
「まあそうなるな」
まさにそうだというのであった。朧は二人に話した。
「そこにおるのは生きていた頃碌なことをしておらんかった奴等ばかりじゃからな」
「ああ、じゃああれだな」
社はその常世の話を聞いてだ。察した顔でこう述べた。
「その碌でもない奴等が司馬尉の国の民になるって訳か」
「うむ、そうなる」
「で、生きてる連中はそいつ等の糧なるんだな」
「オロチにより崩壊させられた世界でのう」
「いいな、それ」
社はその話を聞いても楽しげに笑った。
ラーメンの袋を破いてそれを鍋の中に入れてからだ。彼はまた言った。
「俺達にとって最高の世界だぜ」
「私達はオロチだからね」
「生きている人間の考えはないから」
それが大きいというのである。シェルミーとクリスも言うのだった。
「さて、じゃあね」
「これから宜しくね」
「うむ、あらためてな」
朧はそのラーメンを食べながら話した。
「楽しくやろうぞ」
「そうするか。しかしこの世界ってあれだな」
社もラーメンを食べながら言う。
「中国なんだよな」
「ええ、そうよ」
「それは間違いないよ」
シェルミーとクリスが社の今の言葉に応えて話す。
「あの三国志のね」
「その時代だけれどね」
「何か全然違うな」
社は首を傾げさせて言った。
「俺達の思ってた中国とな」
「そうね。それはね」
「僕もそう思ったよ」
二人もだ。それはその通りだというのだった。
「服装だって全然違うしね」
「食べ物なんか特にね」
「今インスタントラーメン食ってる俺達が言うのもあれだけれどな」
「普通に酢豚とか炒飯とかあるし」
「そうそう、唐辛子があったりしてね」
「この時代の中国に唐辛子なんてなかったよな」
社はそのことも話した。
「本当にわからない世界だよな」
「まあそこが面白いんだけれどね」
「だよね。僕達の世界とはまた違って」
「ふむ。そうじゃな」
朧もラーメンを食べ続けている。そうして話すのだった。
「美味いものを食えるのはいいことじゃな」
「そうだな。そう考えればいいよな」
「うむ。楽しい世界ならそれでのう」
「それで食った後でどうだ?」
社が朧にこんな提案をした。
「音楽でも聴くか?」
「音楽とな」
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