第7章:神界大戦
第222話「もう、振り返る事はない」
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ちで緋雪が食い下がる。
緋雪にとって、両親に続いて兄も喪おうとしているのだ。
洗脳されていた事と合わさり、精神状態はかなり不安定になっている。
「言っただろう。“可能性”が潰えていると。……僕が狙いだっただけある。分かるんだ。どうやっても僕だけは助からないのが」
「そんな……!」
「なのはが魔法で奴らの攻撃を防ぎきるその瞬間まで、完全にイリスの思い通りだった。確かにイリスの想定を上回る事はできたさ。……でも、結果は変わらない」
本来なら、結界が崩れたあの瞬間に敗北が決定したはずだった。
だが、それを覆す事が出来たと優輝は言う。
「でも……でも……っ!」
「緋雪!」
「ッ……!」
駄々をこねるように優輝に縋る緋雪。
だが、優輝はそれを拒む。
「聞き分けてくれ……。もう、これは覆しようのない事なんだ」
「いや、いやっ……!もうお兄ちゃんを喪いたくないっ!」
「………」
緋雪はシュネーだった時の事を思い出していた。
あの時、優輝は……ムートは先に逝ってしまった。
今度もそうなるかもしれないと、緋雪は考えてしまっていた。
「お兄ちゃ―――」
「ごめん」
「ッぁ……」
涙ながらに言う緋雪に、謝りながらも優輝は当身を繰り出した。
精神が不安定だったためか、その一撃で緋雪は気絶してしまう。
「……っと」
「理力を流して無理矢理眠らせた。……悪いな」
「いいよ。……緋雪ちゃんを手っ取り早く止めるには、これしかないしね」
気絶した緋雪を、駆けつけたとこよがそっと抱える。
「優輝、君……」
「……そんな泣かないでくれよ、司」
「だって、だってぇ……!」
自分達のせいで傷ついて、さらには自身を犠牲にしようとする。
そんな優輝を前に、司は泣くのを我慢できなかった。
「ごめん、なさい……!私の、せいで……!」
「司のせいじゃない。……単純に、あいつらが上手だっただけだ。入念に準備していたみたいだしな。……だから、そう自分を責めるな」
「うん……」
見通しが甘かったとしか言いようがなかった。
故に、司が責任を感じる事はないと、優輝はあやすように言った。
「………」
「……椿と葵は……何も言わないんだな」
「……言った所で変わらないもの」
「言うだけ、無駄だもんね」
「まぁ、そうだけどさ」
最早言葉は不要とばかりに、椿と葵との最期の会話はそれで終わった。
他にも、各々言いたい事はあったが誰もが口を噤んでいた。
「誰か緋雪に……いや、これは皆にも伝えておくべきだな」
返事はない。それでも、優輝は
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