第五十話「天央祭・?」
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「う…あ…っ、けほっ、けほっ」
会場内から放り投げられ、辺りに植えられていた木々に激突したのち地面に落下した士道は、前進に走る痛みと衝撃に激しくせき込んだ。
衝突した影響で数分の間意識を失っていた士道は痛む体を起こしながら周囲の確認をする。士道が飛ばされた場所は天宮スクエアからほど近い公園の一角であった。木々と柔らかい芝生のおかげでこの程度の怪我で済んだらしい。そして、後方に広がる駐車場にぶつからなかったことに心の底から安堵した。
もし、固いコンクリートの駐車場にぶつかっても琴里の精霊の力で死ぬ事は無いだろうが激痛に襲われる事になっただろう。そうなれば暫くの間は動けないだろう、士道は自分の運の良さとここに投げた十香のコントロールに感謝する。
「そうだ、十香…!」
漸く意識が鮮明になってきた士道は自分の置かれている状況を思い出す。そして、未だに会場に残っているであろう十香の事も。
「ぐ…っ!」
士道は痛む体を無理やり動かす。いくら霊力を限定解除している十香とは言え、アンナ状況では無事に済むはずがない。最悪の場合捕まってしまう可能性すらあり得た。
そして、天宮スクエアに目を向けた時、天井から何かが飛び出すのが見えた。
「あれは…!」
その姿に、士道は目を見開き驚愕を露にする。
白銀のCR-ユニットを纏った女性、エレン・ミラ・メイザースが意識を失った十香を抱いて空を飛んでいたのだから。士道が予想した中で最も最悪の状況、それが起きてしまったのだから。
「十香…!?」
十香は意識を失っている様でぐったりとした様子で動かなかった。そんな十香を抱いて飛ぶエレンは周囲を確認したのちに何処かへと飛んでいってしまった。
その様子を士道はただただ、茫然と見ている事しか出来なかった。
「十…香…?」
瞬く間に起こった現実感のない出来事が、次第に脳に染み込んでいき、士道の意識を揺さぶってくる。
「十香…十香ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
叫ぶも、その声は空しく空に響き渡るだけだった。
そして、或美島以来の感情が士道に襲いかかる。
何も出来ない無力感。ただただ守られるだけの自分に士道の心は押しつぶされそうになる。また、何も出来なかった。美九の封印は出来ず、八舞姉妹や四糸乃、琴里は美九に操られ唯一洗脳を免れた十香も今目の前でさらわれていった。
だが、現実は非情である。そんな感傷に浸かる暇さえ士道には与えてくれなかった。天宮スクエアの正面ゲートより現れる無数の人間。ゆらゆらと進み、何かを探すような動きに士道は目的が誰なのかを直ぐに察する。
「くっ!」
士道は未だ激痛の走る体を無理やり動かしその場を必死で逃げていく。十香の努力を無駄にしないた
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