第五十話「天央祭・?」
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めに。
「流石は人類最強の魔術師と言った所か」
彼女は天宮スクエアの天井から先ほど出て行ったエレンに称賛を送る。十香がエレンに捕まる一部始終を見ていた彼女はエレンの予想以上の実力に驚いていた。
彼女が持っていた情報ではあそこまで強くはなかったはずである。せいぜい全力の十香と戦って十分持てばいい方であったはず。しかし、今のエレンは限定解除とは言え精霊の力を使った十香相手に圧勝した。あれなら全力の十香と真っ向から戦えるだろう。
エレンに何が起きたのかは知らない。だが、言えることは敵の実力が予想以上に強いと言う事。もし、戦う事になったなら彼女も全力で全ての力を使い戦う必要がある。手を抜いたら、確実に負ける。
「…美亜さん、彼女は一体何だったのでしょう」
洗脳した群衆に士道を捕まえる様に指示を出した美九が彼女に近づき疑問を口にする。今まで見てきたASTとは明らかに異なる相手。美九ですらエレンの発する圧に気圧されていた。目の前の敵とは、絶対に戦ってはいけない、と。
エレンがいなくなり漸く肩の力が抜けた美九が急いで士道を追うように指示を出したのがつい先ほど。だが、既に遠くへと逃げてしまっているだろう。それだけの時間があったのだから。
「…エレン・ミラ・メイザース。現界する度に現れるASTより厄介で恐ろしい、敵だ。今回は夜刀神十香、だったかが目的だったらしいがもし狙われていたのがこちらだったら負けていた可能性もあった」
「美亜さんも、勝てませんか?」
「…正直、分からない」
あの能力を使えば比較的楽に倒せるだろうがあれが奥の手の中でも奥の手でありそう簡単に使いたくはなかった。
「…それより、この後はどうするんだ?こんなに騒ぎを大きくして」
彼女は話題を変え今後の事について聞く。彼女が放った天使の力で操られた群衆が士道を探す事に躍起になっている。そうなれば必ず異常として民衆に知れ渡る事になるだろう。
そんな彼女の懸念に美九は特に気にした様子も見せずに笑みを浮かべる。
「そうですね〜。折角ステージに立っている事ですし可愛い精霊さんや美亜さんの為に歌おうと思いますぅ」
そんな美九の答えに若干の恐怖を感じつつ彼女は美九に促され精霊たちと共に席につくのであった。
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