第百八十話
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第百八十話 香りも
赤音は梨花にさらに言った。
「匂いもね」
「日本酒のよね」
「梨花ちゃんだとビールね」
「ええ、どちらにしてもお酒の匂いね」
「あまりよくないわよね」
こう梨花に言うのだった。
「そうよね」
「ええ、いい匂いとはね」
「美味しいとは思わないわよね」
「変な匂いね」
ビールのそれはとだ、梨花は答えた。
「どうにも」
「そうよね」
「あの匂いは」
梨花はさらに言った。
「私駄目よ」
「私も。日本酒はね」
「それでワインも」
「そうそう、あの匂いもね」
二人は今回の話の最初に戻った、今話しているワインは赤ワインのことで二人は実はワインのことはまだ詳しく白ワインは失念している。
「私駄目よ」
「私も。けれどお父さんもお母さんも」
「ワインも飲むの」
「二人共煙草吸わないけれど」
「うちもよ」
赤音の両親もというのだ。
「煙草は吸わないわ」
「けれどお酒は飲むのね」
「そう、それでね」
「日本酒の匂いは駄目だったのね」
「味もね」
どちらもというのだ。
「駄目だったわ」
「私もよ、お酒って」
「本当に美味しいのか」
「わからないわね」
「けれど大人の人ってね」
「飲む人多いわよね」
「飲めないって人もいるけれど」
赤音は下戸の人の話もした。
「けれどね」
「大人の人って好きな人多くて」
「そうした人は美味しそうに飲むけれど」
「何処が美味しいのか」
「酔うからかしら」
「けれど飲み過ぎたら辛いっていうし」
「何処がいいのかね」
それがというのだ。
「わからないわよね」
「ええ、私もよ」
梨花は赤音にどうかという顔で答えた、とかく今二人は酒についてはこうした評価しかなかった。
第百八十話 完
2019・7・25
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