第百七十九話
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第百七十九話 酒について
赤音は学校で梨花に話した。
「ねえ、塾の先生だけれど」
「今田先生?今日子先生?」
「どちらの先生もよ」
二人共というのだ。
「結構お二人で晩ご飯のお話してるでしょ」
「ええ、そういえばね」
言われてみればとだ、梨花も頷いて答えた。
「結構ね」
「そうでしょ、それでその時にワインのお話もしてるわよ」
「お酒のね」
「先生達ってお酒お好きなのかしら」
「そうでしょうね」
赤音の言う通りだとだ、梨花は答えた。
「お好きだからね」
「お酒のお話もしてるのね」
「嫌いで飲まないと」
それならとだ、梨花は述べた。
「お話しないでしょ」
「そうよね、先生達って煙草のお話しなくて」
酒及び煙草という言葉からだ、赤音は言った。
「お酒は結構してるから」
「それだとね」
「やっぱりお酒お好きなのね」
「それもワインが」
梨花は赤音の話に乗って述べた。
「お好きだと思うわ」
「そうなのね。けれどお酒って美味しいの?」
「それは」
どうかとだ、梨花は赤音の今の質問には怪訝な顔になって答えた、顔だけでなく声も怪訝なものだった。
「私もね」
「わからないわよね」
「だって私達子供だから」
「小学生でね」
「二十歳になっていないから」
だからだというのだ。
「飲めないから」
「わからないわよね」
「ちょっとビール舐めさせてもらったことはあるけれど」
「私は日本酒ね」
「お父さんにね」
「私はお祖父ちゃんに。けれど」
赤音はどうかという顔で述べた。
「あまり美味しくないわ」
「ビールって苦くて」
「美味しくないのね」
「どうもね」
こう言うのだった、二人共それぞれが飲んだというか舐めたに過ぎない酒についてはこうした感想であった。
第百七十九話 完
2019・7・25
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