第44話
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〜メンフィル帝国軍・ヴァリアント・フォルデ大尉とクルト特尉の部屋〜
「…………ですから、何度も言っているように貴方の槍術は”ヴァンダール流”の技と似ているんです。僕はそれを知りたいんです。」
「しつこい奴だな〜。俺も何度も返しているように確か”ヴァンダール流は剣術の流派の一つ”なんだろう?槍が得物の俺が槍で剣術を使うとかおかしな話だろうが。」
「…………二人ともどうしたんですか?」
クルトの問いかけに対して疲れた表情で答えたフォルデの様子を見たリィンは二人に近づいて声をかけた。
「お疲れ様です、リィン少佐。」
「おい、リィン。何で俺と同室の相手をこんなクソ真面目な奴にしたんだよ…………これじゃあ、気軽に娼婦を部屋に呼べねぇじゃねえか。」
「…………クルトは事情が事情ですから、事情を知らされている軍位持ちと同室にするべきですし、俺達の隊は先輩も知っての通り、男性の軍位持ちは俺と先輩だけなんですから、消去法で二人部屋を一人で使っている先輩と同室にせざるを得ない事は先輩も理解しているはずです…………というかそもそも、軍に同行している娼婦に関しては”そういった行為をする為の部屋”が用意されているんですから、本来はそちらを利用すべきなのですが…………――――――それで一体何をもめていたんですか?」
フォルデの文句に対して静かな表情で答えたリィンは呆れた表情で溜息を吐いて指摘して、二人に問いかけた。
「クルトの奴がさっきから、俺の槍術はクルトの剣術と似ている部分があるから、それについて教えてくれの一点張りなんだよ…………」
「いや、似ているもなにも、先輩の槍術は”ヴァンダール流槍術”なんですから”ヴァンダール流”の使い手の一人であるクルトの剣術と似ている部分があって当然じゃないですか…………」
フォルデの答えに対してリィンが呆れた表情で答えたその時
「あ、バカ!」
「フォルデ大尉の槍術が”ヴァンダール流槍術”…………!?確かにヴァンダール流にはかつて槍術も存在していたと聞いていますが、”ヴァンダール流槍術”は使い手が少なく、当時の唯一の伝承者であったロラン卿の戦死を機に途絶えたはずです。なのに何故フォルデ大尉が”ヴァンダール流槍術”を…………………!?」
リィンの答えを聞いたフォルデが表情を引き攣らせて声を上げたその時、驚きの声を上げたクルトは真剣な表情でフォルデを見つめて問いかけた。
「ったく…………こういうめんどくさい展開になるのは目に見えていたから、誤魔化していたってのに、お前のせいで台無しじゃねぇか…………」
「いや、俺が答えなくても、ステラ達も知っていますから、クルトはいずれ先輩の事を知る事になると思うのですが。――――――それよりもクルトが知りたいと思っている先輩の槍術について、俺が代わりに説明するよ――――――」
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