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レーヴァティン
第百二十三話 讃岐からその十一

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「わかりません」
「そうしたものだからか」
「極限の状況で信義を守れるか」
「難しいか」
「非常に。ですが普通の時に」
「今の様な状況でか」
「信義を守ることが出来るなら」
 それならとだ、さらに言った紅葉だった。
「その時に守れれば」
「いいのか」
「そうかと」
「そうしたものか」
「何でもない時、生きるか死ぬかでなくとも人を裏切れるなら」
 それならというのだ。
「その人は信用出来ないかと」
「そうした奴はか」
「自分がまずくなるからと言って友人を切り捨てる人はどう思いますか」
「そんな奴は信用出来るものか」
 英雄は一言で答えた。
「俺はそんな奴は絶対に友達にしない」
「左様ですね」
「下らないことで人を裏切れるなら」
 それならというのだ。
「それこそ何をしてもだ」
「信用出来ないですね」
「そういう奴は屑だ」
 英雄は一言で言い切った。
「確かに人は生死を賭けた時があるが」
「そうした時でもですね」
「やはり迷う」
「裏切るかどうかを」
「だがそうしたな」
「自分の立場が危うくなる程度で、ですね。尚です」
 ここで紅葉はこうも話した。
「自分がある女の子に告白する様に言って」
「それでか」
「その彼が振られて女の子の友人達に言われて」
「自分も言われてか」
「その人の友人ということで」
 それでというのだ。
「言われてそれで、です」
「切り捨てるか」
「そうしたことでは」
「俺はそんな奴とは一切関わらない」
 これが英雄の返事だった。
「些細なことだ、ましてやだ」
「自分が言ってですね」
「それではな、もっともそんな奴はな」
 これ以上はない軽蔑を込めてだ、英雄はこうも言った。
「誰からも心の中では信用されない」
「人は見ていますからね」
「裏切りはその相手だけにしないだろう」
「誰にもですね」
「そうした些細な理由で人を裏切る奴はだ」
 それこそというのだ。
「誰に対してもだ」
「何でもないことで、ですね」
「裏切るからな」
 だからだというのだ。
「俺もだ」
「関わらないですか」
「小悪党だ、小悪党はだ」
 それこそというのだ。
「能力も大したことはない」
「小悪党はどういったものか」
 今度は耕平が言ってきた。
「まあおおよそな」
「見当がつくな」
「能力もせこいからな」
「悪事もだ」
「せこいな」
「そして性根もだ」
 それもというのだ。
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