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レーヴァティン
第百二十三話 讃岐からその九

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「その様にな」
「さすれば」
「俺は約束する、この世界は必ず救う」
 英雄は使者にこうも言った。
「何があろうともな」
「そうして下さいますか」
「この浮島も統一してな」
 そうしてというのだ。
「それからだ」
「この浮島も」
「そしてだ」
「そのうえで」
「海の魔神を倒してな」
「世界を救って頂けるのですね」
「それが務めだからな」
 それ故にというのだ。
「その為に動くからな」
「それでは」
「貴殿の主に全て伝えてもらう」
 今自分が言った言葉をというのだ。
「そうしてもらうぞ」
「それでは」
 使者も頷いて応えた、そうしてだった。 
 松山もまた英雄達の勢力圏になった、英雄は既に松山の三分の二を領有していたがここで松山も手に入った。
 それでだ、彼はこう言った。
「まさかな」
「こうなるとはでござるな」
「思わなかった」
 英雄は使者が去ってから智に述べた。
「あちらから降るとはな」
「力がある人の道をご存知なら」
「それならばか」
「人はです」
 必ず、と言うのだった。
「ついてくるものなので」
「だからか」
「はい、この度もです」
 まさにというのだ。
「松山も降ったのでしょう」
「俺が先代領主の死に兵を動かさず逆に喪に服したのを見てか」
「それは確かに人の道ですが」
 それでもというのだ。
「それが出来ない人もいます」
「そうなのか」
「無防備で豊かな場所が目の前にあると」
「相手の弱みを衝いてだな」
「攻めるのは当然ですから」
「だからか」
「はい、攻めることもです」
 それもというのだ。
「事例として多くあるでしょう」
「俺もこれが大事、絶対に見逃せない様なな」
「そうした時ならば」
「迷って若しかするとだ」
「攻めていたかも知れないですか」
「そうだ、だがだ」
 それでもというのだ。
「今回はな」
「違いましたか」
「今は信義を守らなくてはならない」
 人のそれをというのだ。
「そう思ってだ」
「攻められませんでしたか」
「そうしたが」
「それが、でござるな」
「よかったな、やはりな」
「信義というものは」
「守るべきものか。俺は信義は守るべきと考えているが」
 それでもとだ、智に言うのだった。
「どうしてもという時はな」
「わからないでござるか」
「自分でその信義を守れるか」
 それがというのだ。
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