第六話 INグレンダン(その4)
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のに」
「いや、普通に売っているものを買おうと思っていたからだ」
「何言ってるんです、自分に合ったものを着ないと愉しめないじゃないですか。動きを制限されるなんてやってられませんよ」
自分の体に合ったものでなければ余計な抵抗を受けて思考にノイズが走ってしまう。普通の武芸者であれば気にならないことでも天剣授受者ともなればそういった不純物に対する忌避感は強い。自らの力を磨き上げることを目的とする者にとって、戦闘の集中を阻害するものは少ないほうがいいのだ。
「まあいいです、とりあえず出る準備をしましょう」
グレンダンの他都市よりも広い外縁部、そこに二人は立っていた。
すでに都市外戦装備に身を固めいつでも外へ踏み出せる態勢だ。だが二人が出ない理由は簡単、まだ汚染獣が戦闘エリア内まで近づいていないからだ。だからこそゆっくりと話をする時間もある。
「いや、それにしても大きいですね。流石は『名付き』といったところでしょうか」
「私も老性一期は見たことがあるがそれより遥かに大きいな。それより汚染獣についての情報はないのか」
汚染獣戦を前にして緊張の欠片もないクララ、それに対してヴェルゼンハイムやドゥリンダナといった強敵との戦闘はあれど普通の老性体との戦闘経験はないニーナ。もっともクララに言わせれば『それ以上の強敵や老性体を屠る天剣授受者と戦った人間が何を心配するのか』ということになる。
「汚染獣の変化は千差万別ですからね。見た目以外には実際に戦ってみるしかないですよ。まあ、以前は見た目通りのパワーファイターだったそうですけど」
「ちょっと待てクララ、以前とは何だ以前とは」
「あれ言いませんでした『名付き』だって?」
ニーナとの認識の差異に首をかしげるクララ。そこへ銀の蝶からフォローが入る。
『クラリーベル様、『名付き』という言葉はグレンダン以外ではありません。老性体と出会うことはまずありませんし、遭遇した場合滅ぼすか滅ぼされるかの二択しかありません。『名付き』とはかつて天剣と戦い生き残った老性体に与えられた個体名を持つ汚染獣のことです。今回の『ギガント』の場合カウンティア様とリヴァース様が戦われました』
「つまりグレンダンにケンカを売りながら天剣に倒されずに逃げ帰れたっていうものすごいレアモノなんですよ、楽しそうでしょう」
楽しげに言うクララだがそれを聞くニーナはといえば思いっきり引いている。
「お前もよくそんなのといきなり戦わせようとするな。遠慮とかそういったものはないのか」
とはいえクララの性格を熟知しているためほとんどを呆れの成分が占めている。
「それで老性体の何期ぐらいなんだ。それと前回はどんな戦いで何故逃がしてしまったんだ?」
実りが少ないだろう追及は形だけにして敵となる汚染獣の情報を求める。
「
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