第四十八話 アトラス計画
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トレアは知ったが、魔法学院に共に通いたかったのは別の思惑があったからだ。
「魔法学院に入りたかったのなら、入学できるように僕が話をつけておこう」
「でも、マクシミリアンさま不在の新宮殿を留守を預かる事になれば、わたしだけが、おいそれと魔法学院に入学するわけにも……」
「父上や母上、それにアンリエッタが居るとはいえ、カトレアを、新宮殿に一人するのは忍びないと思っていたんだ……それに……」
「それに……?」
「カトレアは、王太子妃、行く行くは王妃だ。人生の大半を国の為、国民の為に捧げて貰う事になるだろうけど、今はまだ15歳の女の子だ。これを期に、休暇みたいなのを取って貰おうと思ったんだ」
それと、マクシミリアンには気になる事があった。
カトレアの幼年期は、病気の性で外には出られず、病気が治っても、今度は王太子妃として過密なスケジュールの中での勉強や礼儀作法の訓練などで、同年代の友人を作る暇など無かった。
前年の新婚旅行の時に、マチルダと友人関係を作れたが、あくまで彼女は外国人、トリステイン国内で友人と呼べる者をマクシミリアンは知らなかった。
(これと期に、もっと友人と呼べる人々と縁を育んで欲しい。まあ、大きなお世話かもしれないけど、ね)
マクシミリアンの想いとは別に、カトレアは今にも泣きそうな顔になった
「マクシミリアンさま……わたしの事はどうでも良いんです。わたしが、マクシミリアンさまと一緒に魔法学院に通いたかったのは、マクシミリアンさまに少しでも政務から離れて頂きたかったからです」
「え? 僕にかい?」
「だってそうじゃありませんか! わたしと同じ15歳なのに、幼い頃から政務に携わっていて! 毎日毎日、お忙しく、同じ年代の男の子と混じって遊ぶ時間も無くて! 軍歴もあって、巷では『賢王子』と呼ばれている! 素晴らしい為政者だと思います。ですが異常です! 15歳で遊ぶ事もせずに、政務を続けるなんて普通じゃないです!!」
初めて見る、声を張り上げるカトレア。その両眼から涙がこぼれ出した。
「カトレア!? ほ、ほら、カトレアだって知っているんだろう? 僕がどういう人間なのかを?」
「だから……だから、どうだって言うんですか! 本当は、マクシミリアンさまに休暇を取って欲しくて魔法学院にお誘いしたのに! トリステインの為とはいえ、死ぬかもしれない旅に同行されるなんて! こんな、働きづめのガーゴイルみたいな人生あんまりだわ!!」
カトレアは遂に泣き出した。
カトレアの涙。それは、人生の全てをトリステインに捧げようとする、マクシミリアンへの慟哭だった。
『毎日、忙しい夫を無理矢理にでも休ませる為に……』
それが、カトレアが魔法学院に通わせる為の真相だっ
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