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異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》
第一部
第四章 異能バトル
4-5 反撃
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失くしたくない。
「これで終わりだ」
山崎は庇おうとする彩弓さんを引き剥がし、鳩子の首に手を伸ばした。
その時だった。
「いや、まだ終わってねー」
いつのまにか鳩子の背後に人がいた。
声の主は鳩子を庇うように前へ出た。
山崎の動きが止まり距離を取る。
そいつはあたし達のよく知る人物だった。
「忘れたか? うちの文芸部は五人なんだ」
「安藤??」
「じゅーくん??」
「アンドー?」
「安藤くん??」
「ごめん、少し迷った」
気安い、いつもの笑顔で、いつもより少し逞しい顔つきの安藤がそこにいた。
「どうして……」
いるのかと問う前に事態がよくなってはいないことに気付く。
「誰かと思えばお前かよ、もやし」
「あいつは誰だ? フォクシー」
状況の読めない砂川が尋ねる。
「前回山崎さんが殺し損ねた少年ですよ。役に立たない異能の」
「ああー。言ってたなあ、そんなやつがいるって」
安藤の異能で使えるのは自爆くらいだ。
現状は打開できない。
「なにか用か?」
山崎が尋ねる。
安藤はみんなをひとりずつ見て最後に鳩子を見た。
「……鳩子に手を出したのはお前か?」
「ああ、そうだが。それがどうかしたか?」
余裕の態度の山崎。
「ひとを無闇に傷つけるなって親に教わらなかったか、バカ」
「あ?」
徐々に会話に熱が入る。
「こっからは俺が相手だ。常識っつーのを教えてやるよ」
山崎の態度が変わる。
「なにしゃしゃってんだ! もやしが!」
山崎が異能を使い安藤を殴りにかかる。
「安藤!」
その場にいる誰もが山崎の勝ちを予想した。
たったひとりを除いて。
安藤は構えた。
それと同時に右腕を「黒?」が覆い、更に膨れ上がって巨大な腕を形成する。
「??」
山崎は異変に気付くも急に方向転換できない。
安藤が腕を振る。
黒い豪腕が山崎に炸裂した。
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