黒星団-ブラックスターズ-part5/奪われたデルフ
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一振りする。シルバは「うわっと!」と声をあげつつも間一髪それを避けきるも、シュウはすかさず追撃を仕掛けようと地下水を構え直す。
「平賀、傷はあるか?」
「俺は大丈夫、だけど…デルフが…!」
戦っている相手にデルフを直接奪われるというかつてない事態に、サイトは思った以上に平静さを失いかけていた。なんとかデルフを取り戻さなくては。
「だーっはっはっは!この二人を相手にここまで持ち堪えたこと…敵ながら称賛しよう」
すると、どこからともなく、夜空全体に行き渡るほどの女性の大声がサイトたちの耳に入った。直後、その声の主と思われる女性が新たに一人、ノヴァとシルバの背後に着地した。
「だが残念だったな、最後に勝ったのは我ら『ブラッ「『土くれのフーケ』だよ!」っとと…こほん。『土くれのフーケ』だ!」
新たに現れたのは、女性らしい脚線美に露出過多な黒衣を身に纏う、長い黒髪の女性であった。素顔を先ほどのシルバ同様にフードで覆い隠している。何やら今違うことを言いかけていたようだがシルバから指摘を入れられ訂正…トリステイン貴族の頭を悩ませた悪名高い盗賊の名を騙っている割に、あまりにもぎこちない。物体を溶かす液体を精製する力や伸縮自在な触手を生やす能力という、異能の力こそ有しているが、偽者というにはお粗末さが見受けられる。
「『ブラック』ちゃん!あなたまで!」
その女性を見て、スカロンが声を上げる。
「す、スカロン店長!?ど、どうしてここに…」
名を呼ばれたその黒髪の女性だが、スカロンに名前を言い当てられたのを機に、妖精亭の面々がこの場にいることに気づいて気まずい表情を浮かべた。
(こいつらか、あたしの名を騙っていたのは。にしてもまさか、こんな小娘共だったなんてね)
本物のフーケであるマチルダは、3人の少女達を見て目つきが鋭くなる。こうして自分の名を勝手に使う輩と相対すると、思った通り中々に嫌な気分になるものだ。しかし思った以上に間抜けな連中だとも思った。先ほどシルバの素顔が露になったことといい、今といい、あっさり正体が看破されるとは、盗賊としてかなり未熟さが窺える。
「ブラック、今更動揺するな。こうなる可能性は十分にあっただろ」
「そうだよ、しっかりしなきゃ。『サツキ』ちゃんたちが待ってるんだから」
「そ、そうだな。私としたことがつい取り乱してしまった」
これだけ騒ぎになる行いをした割にスカロンと鉢合わせするのは想定になかったらしい。動揺するブラックをノヴァとシルバが諌める。
サイトが『土くれのフーケ』を名乗る少女たちへの警戒を高める中、かつての従業員への情からスカロンがブラックたちに向けて叫び出す。
「ブラックちゃん、あなたもわかってるの!?あなた達、魅惑の妖精ビスチェだけじゃなくて、たくさんのマジックアイテムを盗んでるって!」
スカロンが
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