Bismarck編
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ろして、足を組むビスマルク。
「いや、この間、青葉からこのあたりでやってた夏祭りの写真をもらってな」
「な、何よ。夏祭りに行っちゃいけないなんてことはないでしょ」
まだその写真に何が写ってたかなんて言ってないぞー。一瞬で吐いてしまった。こいつほんとに軍人か。
「……お前ほんとに嘘つけないのな」
ぷうっ、と頬を膨らませるビスマルク。他のドイツ艦の前では決して見せない表情だろう。こうして二人っきりの時は、素直になって素を出してくるから可愛い。
「うるさいわね。で、私が夏祭りに言ってたら何か問題でもあるの?」
前言撤回。まったく素直じゃない。仕方ない、もう一歩譲歩してやるか。
「いや、俺、その日、執務室にこもって仕事詰めだったからさ。夏祭りの話を聞きたいな、と思っ……」
「仕方ないわね! 聞かせてあげるわ!」
さっき日本艦と仲良くしている話を他の艦娘に聞いたわけだが、プライドの高いビスマルクは、あの場で聞いても、決してこんなにいい笑顔で語り始めることはなかっただろう。
でも予想通りというか、本人は語りたくて仕方なかったようだ。
「あの日はね、ナガトとムツと一緒に、ユカタを着ていったのよ。ヤタイもおいしかったけど、やっぱり最高だったのはハナビね。あの祭りの最後に打ちあがるやつ。それから……」
怒涛の勢いで、長門たちとの思い出を語り始めるビスマルク。他のドイツ艦と同じように、日本艦と他の国の船との橋渡しの役割に対しては、非常に熱心なのは知っているが、最近はそれを抜きにしても、長門型の二人をはじめとした日本艦と、打算なしで仲良くしているように見える。もともとイタリア艦とは仲がいいし、なんやかんや言いながらも、因縁のアークロイヤルをはじめとしたイギリス艦とも仲良くやっている。
「他にはそうね、あのリンゴアメというのはもう一度食べてみたわね……」
誇らしげに、得意げに、夏の思い出を語る。その様子からは、先ほどの凛とした、ドイツ艦隊旗艦の様子は見て取れない。年相応、もしかするとそれよりもよりも幼いかもしれない、無邪気なビスマルクがそこにはいた。
「……わかったわかった。お前はよく頑張ってくれているよ。本当にありがとう」
何気ない、素直な感想とお礼。俺はその言葉と共に、無意識に、ビスマルクの頭にポンッ、と手を置いた。
「ひゃうっ」
ビスマルクの体が跳ねて、俺の手を払いのける。その勢いで、頭に乗っていた帽子が脇に落ちる。
「ああ、すまん。いやだったか」
上目使いで、顔を真っ赤にしながら俺を睨むビスマルク。やれやれ、これで可愛いビスマルクは終わりのようだ。
怒鳴られるかと思って、二三歩下がる。
ビスマルクは、落ちた帽子を拾い上げて、口
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