第百八話 低い山なれどその二
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「ええですね」
「外で飲み食いすることもだ」
「楽しみ方の一つですね」
「ピクニックもな」
「というかライアちゃんが言う通り」
レベッカは自分の小柄な友人を見つつ吉川に答えた。
「日本のお花見の」
「その楽しみ方だよね」
「そやね」
「ほんまにね」
ライアはレベッカに明るい声で話した。
「日本ではそうした愉しみがあるさかい」
「この若草山でもそうしたら」
「ええね」
「悪ないな」
ビークも笑ってだ、二人に応えた。
「ここにビールを持ってきて」
「ビールなんだ」
「そう、ビールに」
それにと言うのだった。
「焼き肉か」
「焼き肉にはビールだ」
吉川も言い切った。
「何といってもな」
「牛肉というか牛は」
ここで亀人で動きやすい薄い褐色の作業服に長靴の男が言ってきた、農作業の恰好だ。人文星ケン=ママニ=カブラルだ。ギニアビサウ出身で職業は農民、持っている神具は政治特に農業で力を発揮する書アンマの螺旋である。
「僕としては」
「農業に使いたいな」
「はい、畜産も産業ですが」
「農業にも使うからな、牛は」
「そちらの牛はほんまに」
こう吉川に言うのだった。
「置いておいて」
「それは当然だ、農作業に牛や馬は必要だ」
まさにとだ、吉川も答えた。
「私もそれはわかっているつもりだ」
「吉川さんは提督でも」
「これでも政にも携わっているからな」
だからだというのだ。
「それでだ」
「おわかりですか」
「そのつもりだ」
こうママニに言うのだった。
「私としてもな」
「そうですか」
「だがさっき君が言った通りにだ」
「ここで食べる牛はですね」
「畜産の牛でだ」
「元々食べる為のものですね」
「農作業に使う牛ではない」
そこは断るのだった。
「馬もそうだな」
「軍事用の馬とレース用の馬とですね」
「そして農作業に使う馬は違うな」
「遊牧の時に乗る馬も」
「そうした違いがあるしな」
馬でもそうであってというのだ。
「牛もだ」
「食べる牛は畜産の牛である」
「そこはわかっておいてくれ」
「わかりました」
「まあ牛はミルクも出してくれるし」
今度はスリックで青いつなぎの作業服の男が言ってきた、履いている靴は安全靴だ。人闘星ジョゼ=アグアルーザである。アンゴラ出身で職業は大工、持っている神具は大工道具であるカングのハンマーだ。
「革も使えて糞も肥料や燃料になって」
「無駄がないな」
「骨も使えますし」
「そうだ、だから私もだ」
「今みたいに言われますね」
「アフリカでは家にも使っていたな」
「牛の糞で家を作っていました」
アグアルーザは自身の職業である大工の知識からも話した。
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